尾道市議会 > 2004-03-10 >
03月10日-03号

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  1. 尾道市議会 2004-03-10
    03月10日-03号


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    平成16年第1回 2月定例会              平成16年3月10日(水曜日)  ────────────────── * ──────────────────                 議事日程第3号           (平成16年3月10日 午前10時開議)第1 平成16年度各会計予算案及び関連議案等総体説明に対する総体質問                                    以 上  ────────────────── * ──────────────────本日の会議に付した事件日程第1 平成16年度各会計予算案及び関連議案等総体説明に対する総体質問  ────────────────── * ──────────────────出席議員(25名)    1番 高 橋 紀 昭             2番 杉 原 璋 憲    3番 三 浦 幸 広             4番 奥 田 徳 康    5番 越 智 征 士             6番 山 戸 重 治    8番 荒 川 京 子             9番 寺 本 真 一   10番 魚 谷   悟            11番 藤 本 友 行   12番 佐 藤 志 行            13番 井 上 文 伸   14番 山 中 善 和            15番 村 上 俊 昭   16番 檀 上 正 光            17番 東 山 松 一   18番 平 田 久 司            19番 金 口   巖   20番 永 田 明 光            21番 松 谷 成 人   22番 神 田 誠 規            23番 木 曽   勇   24番 助 永 一 男            25番 高 垣   等   26番 宇円田 良 孝欠席議員(1名)    7番 植 田   稔  ────────────────── * ──────────────────説明のため出席した者   市長      亀 田 良 一     助役      若 住 久 吾   収入役     村 上 康 則     教育長     平 谷 祐 宏   参事(合併担当)村 上 年 久     消防団・消防水利担当参事                               岡 本 英 明   企画財務部長  藤 井 正 喜     総務部長    西 岡 伸 夫   市民生活部長  田 頭 敬 康     福祉保健部長福祉事務所長                               杉ノ原 憲 之   産業文化部長  中 司 孝 秀     土木建設部長  中 司 勝 彦   都市部長    石 田 雅 和     市民病院事務部長加 納   彰   教育次長    瓜 生 八百実     水道局長    麻 生 宏 治   交通局長    吉 本 宗 雄     財務課長    岩 井   誠   総務課長    門 田 昭一郎  ────────────────── * ──────────────────事務局出席者   事務局長    浜 谷 勝 利     事務局次長   吉 原 敏 夫   議事調査係長  村 上 慶 弘     議事調査係主任 坂 本 節 子   議事調査係主事 半 田 敬 二  ────────────────── * ──────────────────                午前10時0分 開議 ○議長(松谷成人) ただいま出席議員25名であります。 定足数に達しておりますから、これより本日の会議を開きます。  ────────────────── * ────────────────── △議事日程 ○議長(松谷成人) 本日の議事日程は、お手元に印刷、配付のとおりであります。  ────────────────── * ────────────────── △会議録署名議員の指名 ○議長(松谷成人) 本日の会議録署名議員は、会議規則第79条の規定により、議長において14番山中議員及び15番村上議員を指名いたします。  ────────────────── * ────────────────── △日程第1 平成16年度各会計予算案及び関連議案等総体説明に対する総体質問 ○議長(松谷成人) これより日程に入ります。 日程第1、平成16年度一般会計、各特別会計及び各企業会計予算並びにこれが関連議案等38案を一括議題といたします。 これより市長の総体説明に対する総体質問を行います。 順次、通告者の発言を許可いたします。 13番、井上議員。 ◆13番(井上文伸) (登壇)皆さん、おはようございます。 誠友会を代表いたしまして総体質問を行うわけでございますが、久しぶりでございますのでお聞き苦しいところもあるかと思いますが、お許しを賜りたいと思います。 それでは、通告書に従いまして順次質問をさせていただきます。 まず、平成16年度予算についてお伺いをいたします。 御承知のとおり、政府においては、一般会計総額82兆1,109億円、前年比0.4%増の平成16年度予算を発表をいたしております。しかし、地方にできることは地方との原則のもと、三位一体改革は大きな一歩を踏み出し、16年度予算に補助金1兆円の廃止、縮減などを行うとともに、地方の歳出の徹底的な抑制を図り、地方交付税を1兆2,000億円の減額、また平成18年度までに所得税から個人住民税への本格的な税源移譲を実施されるなど、地方にとっては極めて深刻な財政状況となっております。 こうした国の財政事情の中、広島県も一般会計で前年比3.4%の減となり、3年連続のマイナスとなっております。国の財政計画の1.81%減を大幅に下回り、過去3番目の下げ幅で超緊縮型となっており、国の地方交付税など大幅な削減で「歳出抑制」を中心にした厳しい予算編成となったことから、県知事は2006年までの3年間を「集中対策期間」と位置づけ、財政の健全化を進めていくようであります。 尾道市も、このたびの平成16年度予算におきましては、苦しい財政事情の中で、一般会計で348億1,700万円、前年度6.8%増となったことは、一部企業の市税増があったものの、市長が就任以来進めてこられた行財政改革の成果があったものと評価いたしたいと思います。しかし、公債費比率18%、経常収支比率83.5%と財政の硬直化が示されており、とりわけ市債発行額については前年度比55%増の45億6,550万円となっており、将来の見通しはまだまだ不透明で厳しいものとなっております。 こうした厳しい中にあって、平成16年度以降の公債費比率経常収支比率など、財務指標の推移をどのように見込まれておられるのか、これらを踏まえられて、今後、中・長期を見据えた尾道市の運営についてお考えをお伺いいたしたいと思います。 昨年12月の商工会議所の市内の経済動向調査によると、景気は若干ではあるがよい水準で推移しており、景気がよいと見られる企業割合から悪いと見る割合を引いた状況判断指数はマイナス15.1%と、前回の調査に比べ10.4ポイント上昇し、2期連続の改善となっておりましたが、本年1月から3月の先行き見通しでは改善には至らず、横ばいの見通し、または悪化の傾向を示した業種もあり、景気は依然として厳しいものとなっております。 小泉総理は明るい兆しが見えてきたと言っておられますが、地方にとってはいまだ消費が回復したという状況にはなく、失業者の改善も実感として受けとめることがまだまだ困難な状況にあり、景気が回復してきたと感じないのが実情であります。 尾道市は、ことしは合併を進めていくことで重要な年でもあります。本市にとっては大きな変革になると同時に、社会構造も大きく変化していくと思いますが、将来にわたって安定した体力のある尾道市を目指すことが行政に強く求められてくると思いますが、今後の尾道市のまちづくりについて、どのように進めていかれるのかお伺いをいたしたいと思います。 また、小泉総理は、三位一体の改革が改革の第一歩として全国知事会、市長会からも評価を受け、来年度以降も地方交付税の削減を継続していくという小泉総理三位一体改革の方針について、市長はどのように受けとめておられるか、率直な御意見をお伺いいたしたいと思います。 次に、合併についてお伺いいたします。 全国で、尾道市を初め多くの市町村が合併に向けて取り組みを行っており、法定協議会任意協議会を設置し、合併協議を行っている市町村は、全体の約7割に当たる2,220余りの市町村に達していると言われております。 国においては、時限立法である現行の「市町村の合併の特例に関する法律」いわゆる「合併特例法」の法期限後も、さらに合併を推進する目的で、合併特例区制度などの創設や、合併特例債は廃止されるものの、交付税の特例措置などの財政支援措置の一部を継続することなどを内容とする、新たな法律を制定すると同時に、現行の合併特例法の一部を改正されることについても、今国会で審議される予定と聞いております。 合併特例法が改正されますと、平成17年3月31日の法期限内に議会の合併議決や県知事への合併申請など一定の手続が終了しておれば、合併期日を平成18年3月31日まで、最長で1年間延長することが可能となります。現行法のもとでの合併を目指しております1市2町での合併協議では、目途は定められておりますが、合併の期日はいまだに決定されておらず、このたびの法改正により、今後の合併協議に影響が生ずる可能性もあるのではないかと思われますが、市長はどのように考えておられるのかお伺いをいたしたいと思います。 続きまして、教育についてお伺いをいたします。 教育は「国家百年の計」と言われます。資源の乏しい我が国において、人的資源を最大に活用することが、我が国が今後とも継続、発展していくための不可欠な方策であります。このことは、ここ尾道市でも例外ではございません。 また、「教育は人なり」とも言われます。学校施設を整備したり、職員の数をふやしても、子どもの教育に直接携わる教職員に指導力や資質が伴っていなければ、その効果が出ない、あるいは逆効果になる場合もあると思います。とりわけ、国民共通の基盤を形成する義務教育においては、子どもたちが身につけるべき基本的な素養や能力に、教職員によってばらつきができることは許されないものであり、逆に申し上げれば、教職員個人の価値観や身勝手な判断で教えるべきことを無視したり、反社会的なことを注入するようなことは決してあってはならないと私は思います。 このような意味でも、昨年12月の定例会において、教育長が「校長を中心とした校務運営体制を確立することが重点課題である」と認識していることを答弁されたことは、私といたしましても大変心強く思っているところであります。 しかしながら、県教委が昨年度行った県民意識調査では、小学校への満足度は26%、中学校に至っては18%しか満足していないことが明らかになっております。教育委員会に望むことの第一は、「教職員の資質を向上させることである」が75%に及んでおります。 さらに、本市においては、この1月に、市内の中学校教師児童買春容疑で逮捕されるという、社会人としてはもちろん、教育者として決して許されない行為をし、学校教育に対する保護者また市民の信頼は著しく失墜しております。 昨日は、皆さん方御承知のように、3月9日はちょうど1年前に高須小学校の元校長先生が教職員との人間関係に悩み、みずからの命を絶たれた日であります。改めて、哀悼の誠をささげますとともに、この1年間、教職員の意識改革はどこまで進んでいるのかという疑念も禁じ得ません。 教育委員会においては、「尾道教育プラン21」のもと、「21世紀の学校づくり」を目指し、さまざまな課題に取り組んでおられますが、やはり根本は、教職員が信頼にこたえる指導力と魅力を備えているかであると思います。 そこで、教育問題の中で、教職員にかかわりまして数点お伺いをいたしたいと思います。教育長の明快な答弁をお願いをいたします。 第1に、教職員の指導力の向上についてであります。 「21世紀の学校づくり」は、教職員の指導力を着実に引き上げ、新しい尾道教育を創造しようというものであり、本議会でも全会一致で賛成するなど、市民も大きな期待を寄せております。この事業は、平成14年度から3年計画での事業としてスタートし、来年度は総仕上げの年でもございます。この21世紀の学校づくりの柱である「1校1研究」事業は、すべての学校が研究テーマを持って研修されるわけでございますが、この2年間での成果はどのようになっているのでしょうか。私のもとにも市民から、「確かに学校は変わってきておりますよ」とか、「先生方が熱心に研究を行っている」などの声が届いておりますが、実際のところどうなんでしょうか。 また、最終年度となる来年度の取り組みの課題あるいは目標について、教育委員会としてどのようにとらえておられるのか、あわせてお伺いをいたしたいと思います。 次に、教職員の指導力の向上に欠かせない校外での研修状況についてお伺いをいたします。 「1校1研究」は、各学校での研究、研修を充実させるものでございますが、目の前の子どもたちに対する実践的な指導だけではなく、担当教科に対する深い理解と知識を絶えず獲得することも教えるプロとしての教師の責務ではないかと思います。このためには、他校や教育センターなどの校外での研修に参加する、あるいは教職員みずからが主体的に研修するなど、その指導力を豊かなものにする必要があるのではないかと思います。 例えば、教職員団体の影響を排除するために、新しい自主的な研究団体である「尾道教育研究会」が昨年度設置されておりますが、健全な教職員の自主的な研修母体として期待をいたしておりますが、この研究会への加入状況や活動状況はどのようになっているのか、自主的な研修を含め、校外での教職員研修の現状と今後の課題についてお伺いをいたしたいと思います。 続いて、教職員の資質についてお尋ねいたします。 先ほども触れましたが、中学校教師による不祥事件により、失墜してしまった学校教育に対する信頼をいかにして回復するかが、重く、そして大きな課題となっております。教職員の倫理観と使命感はどうなっているのかという憤慨は、多くの者が感じているのが偽らざる気持ちであると思います。 こうした思いに対して、校長先生の組織である尾道市中学校校長会が「中学校教育への信頼回復を目指して」と題したアピールを直ちに公表されたことは、今回の残念な出来事の中で一条の光があったんではないかと思います。 このアピールでは、「今後すべての教職員に対し、生徒の模範たるべき教師としての倫理観、教育公務員としての自覚を高め、教育への情熱と職業意識を一層確かなものとし、日々の言葉と行動との一致を徹底してまいります」と宣言をされております。この一文は、教師のあり方、原点を示したものであり、この決意を持って子どもたちに対峙していただくことを、切に私は願っております。また、このたびの決意表明が教育委員会ではなく、学校の最高責任者である校長先生たちによってなされたことに、尾道教育が後戻りすることなく、再生に向けて働き出したことを実感いたしております。 そこで、校長会のアピールを踏まえ、各学校はどのように変わってきたのか、現状をまずお伺いをいたしたいと思います。 あわせて、教師としての倫理観、教育公務員としての自覚を高めるなど、教職員の質を向上させるための方策について、教育委員会として今後の方針をお尋ねをいたします。 これは個人的な考えでございますが、1校1研究での公開授業には、尾道の各学校に市外だけでなく県外からも多くの教育関係者が訪れたことは、尾道教育の充実のみならず、経済的な波及効果も大きくあったのではないかと思います。 土堂小学校に入学するために、尾道市内に転居してきた事例もございます。また、尾道の教育を参観するために、全国から多くの人が訪れております。魅力のあるまちとは人々が進んで集まってくるまちであります。尾道により多くの人がつどい、尾道が輝きを取り戻すために、教育の質をさらに向上させることが不可欠ではないかと思います。 明後日12日には市内の中学校、また24日には小学校において卒業式が行われます。約1,800人の子どもたちが人生の一つの節目をつくり、新しい生活への不安と期待を持って旅立つ日でもございます。あすの尾道を担う子どもたちが一層美しく輝いていくことを、心から期待をいたしたいと思います。 次に、尾道松江線、新直轄方式についてお伺いをいたします。 小泉首相において、「聖域なき構造改革」の象徴として、道路関係四公団改革が推し進められておりますが、昨年12月には道路関係公団民営化推進委員会から、今後の高速道路整備に関するあり方として、料金プール制財政投融資資金活用での従来型の高速道路建設の廃止やコスト削減計画及び財務諸表の作成といった内容を盛り込んだ最終報告を提出されております。 これを受け、政府与党協議では、最大の焦点になっていた整備計画区間のうち、未整備の区間について、抜本的見直し区間や2車線化路線をふやすなど、コストを大幅に削減しながら大筋で整備継続の方向を打ち出されております。 昨年12月25日に開催された国土開発幹線自動車道建設会議を受けて、国土交通省では高速国道での整備計画区間9,342キロメートルについては、従来すべて有料道路としての建設を予定しておられましたが、現在未供用区間である2,000キロメートルのうち、直ちに新直轄方式に切りかえる道路は11路線27区間で、延長699キロメートルに決定されたところであります。 このうち、中国横断自動車道尾道松江線では、尾道市-三次市間50キロメートルと、三次市-三刀屋間の61キロメートルの未供用の全区間が高速道路整備に当たり、国が4分の3を、また残り4分1を県が負担する新直轄方式で整備区間になることが決定されました。このことは、我が国で初めての無料の高速自動車道が整備されるということであり、国幹会議直前に2度にわたり上京された市長の行動力と中国横断自動車道尾道松江線建設促進期成同盟会の御尽力のたまものであると同時に、沿線住民の熱意の結晶であり、敬意を表するものでございます。 そこで、この新直轄方式での整備が決定したことに対して、今日まで早期全線開通を要望の柱にされて活動をされてこられた市長として、どのようにお考えか、御所見をお伺いをいたしたいと思います。 次に、新直轄方式での建設の当てられる平成16年度予算については1,700億円を計上されており、本年度対比約3割増となっておりますが、今後15年間で総額約3兆円規模を投資するという縛りがあるようでもございます。また、財政状況が非常に厳しいと言われております広島県の負担が4分の1となれば、事業の進捗に著しく影響が生ずるのではないかという危惧をいたしているところでもございます。 そこで、早期全線開通に向けた今後の取り組みについて、市長のお考えをお伺いいたしたいと思います。 最後になりますが、完成時期についてはまだ具体的になっていないと思いますが、尾道松江線建設の方向性がはっきり出された今、次に本市として考えなければならない重要な課題では、本路線としまなみ海道を有効に結節するルートについてでございます。この道路は、本市が「瀬戸内の十字路」としての拠点性のさらなる進展を図るため、極めて重要な道路でもございます。 以前の議会答弁では、国土交通省におかれては、平成12年度から当該路線のルート等の検討調査を始めておられ、同年度には尾道周辺の幹線道路の計画などについての連絡調整を図ることを目的として、尾道周辺幹線網連絡協議会を設置し、結節ルートの必要性について、検討、調整を進められております。 当該路線の調査熟度を高め、整備手法や整備期日などについて、公共事業の見直しや道路関係四公団の民営化などの動向を踏まえながら検討をされる旨の内容であったと思いますが、その後の進捗状況はどのようになっているのかお伺いをいたしたいと思います。 次に、東南海・南海地震についてお伺いをいたします。 昨年の7月に、「東南海地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法」が施行となり、直ちに内閣総理大臣から中央防災会議に対して、「東南海・南海地震防災対策推進地域」への指定について諮問がなされました。 それ以後、中央防災会議専門調査会において、想定される震度6以上、または津波の高さは3メートル、もしくは浸水深2メートル以上の海岸の堤防が低い地域の市町村のほか、過去の東南海・南海地震での震度などで同等の記録がある地域、また防災体制一体性確保の観点から周辺とあわせて地域指定すべき地域の観点から、具体的な推進地域の妥当性について検討を重ねられ、昨年12月16日に中央防災会議から内閣総理大臣に答申され、翌日には総理大臣から、21の都府県、652の市町村に及ぶ推進地域を決定し公示をされたところでございます。 この地域は、非常に広域で壮大な被害が危惧されており、日本の人口の約3割に当たる3,700万人がこの地域の中で居住していると言われております。このうち、死者数1万8,000人、建物全壊棟数約63万棟と推定され、経済損失は約57兆円という被害の想定をされておりますが、この指定された地域に尾道市も入っております。 尾道市の場合、津波による高潮の被害が想定されているようでございますが、尾道市は特に高潮には弱いまちでございまして、特に東部の方に位置する山波町の今免新涯、高須町の西新涯、東新涯、また向東町などゼロメートル地帯ということで、平素の集中豪雨や台風に排水がもう悪く、床下浸水になりやすい地域でもございます。特に、今免新涯の堤防は傷みがひどく、非常に危険であると言われており、広島県も四、五年前に一定の応急の補強工事はいたしましたが、堤防そのものは非常に弱っているということを言っておられました。また、尾道市は海岸に近いことから、久保地区、土堂地区、手崎地区、吉浦地区、また古浜地区などは、水路から海水が逆流して入り込むなどの被害が多い地域でもございます。 他の都市でも、東南海・南海地震の災害発生時には、速やかに人命救助や災害復旧工事に当たるために、市町村と地元建設業者との間で交わす「建設防災支援隊」を設立し、協定を結んでいる市町村も多く、大地震に向けた自治体の取り組みが進んでいるようでもございます。 尾道市も防災計画がございますが、東南海地震を想定した場合、現在の防災計画で災害に対応できるのか、改めて検討される必要があるのではないかと思いますが、御所見をお伺いをいたしたいと思います。 次に、農業問題についてお伺いをいたします。 最近は、人類を脅かすような食品の話題が大変多いように思います。昨年は冷夏の年となり、我が国の米や果実、野菜などの生産農家にとって大変厳しい年となり、それに伴い高騰する農作物のため、国民の多くの消費者も大きな影響を受けているのが現実でございます。 このような状況を考えると、現在食糧の約70%を輸入に頼っている我が国にとっては、「食と農の再生プラン」に基づいて、食糧法の改正、または「食の安全と安心」の確保や、農業特区による地域の活性化を初めとする幅広い農政の見直しを行わなければならない時期に来ているのではないかと思います。 国内の食糧供給体制が不安である我が国の食の自給率は、カロリーベースで40%、しかし穀物については28%、現在尾道の名物となっておりますラーメンは、1杯が7%の自給率だと言われており、先進国では最低の水準であり、世論も自給率をもっと上げるべきだとの声が非常に強くなっているところでございます。 農水省は、2月に消費者5,000人を対象にした食品自給率に関する初の意識意向調査を行い、先般公表されておりましたが、将来の食糧自給には、農業者また消費者とも9割以上の者が不安であると答えております。米国でのBSE発生や輸入野菜の残留農薬、またアジア地区で発生し、現在日本で拡大しております鳥インフルエンザによって、国民の食の安全、安心に対する不安はますます高まってきております。食の海外依存に対する国民の警戒心は一段と強まっており、国産品への愛着がますます深まっているのではないかと思います。 今後、我が国の農業が持続的に発展を遂げ、夢と希望の持てる農業にしていくためにも、今後重要な課題となるのではないかと思います。かけがえのない農地と担い手を守り、力強い農業をつくるために行政が中枢となって、積極的に農業再生運動の推進に取り組む必要があるのではないかと思います。現在は、非常に厳しい農業情勢ではございますが、食糧の大半を輸入に頼って生活しているようでは、我が国の将来はないと思います。食糧生産の基盤である資源の農地を守っていき、農業が発展していかない限り、我が国の経済の発展もなかなかないと思います。 尾道市も、夢と希望の持てる農業にしていくために、地域農業の再生、農業後継者の確保、育成対策、また食農教育対策、農地流動化への推進、遊休農地、耕作放棄地の発生防止の解消など、地域農業の実態に応じて活動を一層進めていくことが必要ではないかと思いますが、御所見をお伺いいたしたいと思います。 以上で誠友会を代表しての質問をさせていただきました。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(松谷成人) 理事者より答弁を求めます。 亀田市長。 ◎市長(亀田良一) (登壇)皆さん、おはようございます。 誠友会議員団を代表されました井上議員からの御質問に順次お答え申し上げます。 まず最初に、2004年度以降の公債費比率等についてでございますが、2004年度当初予算では公債費比率が18.0%、起債制限比率が12.8%、経常収支比率が83.5%となっております。2005年度以降につきましては、御調・向島両町と合併をした後の予測ということになりますが、公債費比率は2005年度が17.3%、2016年度が18.0%で、この期間、指数の変動があるものと予測しております。 起債制限比率につきましては、2005年度が12.0%で、その後若干改善するものの、2016年度には12.3%と予測をしております。 経常収支比率は、2005年度が85.1%で、その後徐々に悪化し、2016年度には89.9%になると予測しております。 これらの指数を踏まえて、中・長期的な展望に立ちますと、特に経常収支比率は問題がありますので、予測数値を改善する方向で行財政運営を行うよう努めてまいります。 今後のまちづくりにつきましては、合併後策定をいたします最上位計画である総合計画により、限られた財源を有効に活用するなど、健全な行財政運営に意を用いながら、すべての市民が誇りを持ち、安心して幸せに暮らせるまちづくりに向け、一歩ずつ着実に施策を推進してまいりたいと考えております。 次に、三位一体改革についての受けとめでございますが、地方交付税の削減につきましては、交付税特別会計の現状から見て、やむを得ない面もあろうかとは思いますが、算定の簡素化と容易に理解、説明できるようにすることが重要であると考えております。地方自治体がみずからの財源と責任により、地方分権を進めていくという観点から、権限、財源の両面で地方分権を促進するとともに、行政のスリム化を目的としており、この改革に反対するものではございません。 しかし、今回の所得譲与税は、暫定的措置ではありますが、国庫負担金等の削減額に比較して乖離が大きく、地方交付税等も大きく減額となっており、非常に困惑をしております。地方にとっては、税源が確実に移譲されることが大切であると考えており、実の伴う三位一体の措置がとられることをくれぐれも願うものでございます。 次に、合併期日についてでございますが、合併に関する新たな法律の制定と現行法である「市町村の合併の特例に関する法律」の一部改正、並びにそれに関連する地方自治法の関係条文が改正される予定であることは私も承知をしておりますが、これらは今後もさらに市町村合併を促進することを目的としたものであると理解をしております。 しかしながら、1市2町の合併協議は、新市建設計画や議会の議員の定数、任期の取り扱い及びそれに関連する項目の協議を残すのみとなっており、今日までおおむね順調に進捗していることから、特段の影響はないものと思っております。3市町の来年度の予算編成を含めた財政計画は、2005年2月の合併を前提としたものとなっていることから、合併期日を延長すれば、今後の行財政運営に少なからず影響を及ぼすほか、さまざまなデメリットが生ずることが考えられます。 何よりも2005年2月の合併が既に住民にも広く浸透していることから、期日が延長されることにより、住民生活のあらゆる面に支障を生ずることはもちろん、各種事務事業や新市建設計画についても随所に見直しが必要となり、合併に向けて意欲的に準備を進めている職員の士気にも影響を及ぼすものと思われます。したがいまして、合併期日は本来合併協議会で協議される事項でございますので、これらのことを前提としながら、なお慎重な対応が必要かと思っております。 次に、新直轄方式に決定されたことに対するお尋ねでございますが、一時は凍結も取りざたされていただけに、建設の継続が決まって安心をしたというのが率直な気持ちでございます。私は、かねがね高速自動車道は、国の責任において実施すべきものであることを述べてまいりましたが、無料の高速道路ができることは大変喜ばしいことであると考えております。 次に、早期全線開通に向けた今後の取り組みについてでございますが、今後は新直轄区間としての優先順位の問題が最優先課題となっております。本市としても、引き続き国土交通省を初め関係機関に対し、県に所要の財源が確保され、早期全線開通が図られるよう強力に働きかけてまいりますので、御支援と御協力をお願いいたします。 次に、本路線としまなみ海道を有効に直結するルートについてのお尋ねでございますが、この必要性については十分に認識をしており、主要プロジェクトとして位置づけております。2000年度以降の進捗状況につきましては、国土交通省におかれては、本線が新直轄方式として決まったばかりなので、新たな進展はないとのことです。今後は、計画路線調査により路線検討や整備手法の検討などが進められる予定であると聞いております。 次に、「東南海・南海地震対策」についてでございますが、御所論のとおり、昨年12月、市町村を単位とする防災対策推進地域に本市も指定をされたところでございます。また、引き続き国において、東南海・南海地震防災対策推進基本計画を策定中で、津波による浸水予想区域などが具体的に明示されることとなっております。 こうした中で、現在の本市地域防災計画では、地震、台風による高潮対策として、防潮扉等の開閉、水防資材の配送、海岸巡回などの臨機応変の措置を講じることとしております。家屋倒壊や災害復旧等についても、関係行政機関はもちろんのこと、民間の建設業界などからも協力要請に応じていただける手はずはできております。また現在、指定避難所への表示板の設置を進めており、新年度においても一層充実を図ることとしております。さらに、これら災害発生に際して、市職員が直ちに対応できるよう、「災害時職員行動マニュアル」や「避難場所開設・運営マニュアル」等を本年度新たに作成し、先般周知を図ったところでございます。 いずれにしても、本市としては、今回の地域指定は津波災害を想定した性質のものととらえております。国が基本計画を定めた段階で、さらに実情に即する尾道市地域防災計画を見直してまいります。 次に、農業問題についてでございますが、食糧、農業をめぐる情勢は、御所論のとおり多くの課題を抱えております。さらに、食糧自給率の低下は深刻であり、将来の食糧事情は自然災害等の不測の要因により逼迫すると見込まれており、国民の多数は食糧の安定供給に不安を抱いているところでございます。 このような中で、国においては、2000年に食糧の安定供給等を基本とした「食料・農業・農村基本計画」を策定をされております。しかし、これらをめぐる情勢の変化を踏まえ、現在その見直し作業に取り組まれているところでございます。 本市では、この計画に基づき、地域農産物を安定的に供給するため、遊休農地の活用や担い手の育成等を図り、特産品の産地化の維持拡大に努め、農業の持続的な発展を図ってまいります。さらに、消費者、生産者、JAと一体となり、食の安全、安心の確保に向けた取り組みを進めてまいりたいと思っております。 以上、市長答弁といたします。 ○議長(松谷成人) 平谷教育長。 ◎教育長(平谷祐宏) (登壇)皆さん、おはようございます。 教育委員会にかかわる御質問には私からお答えさせていただきます。 まず最初に、教職員の指導力向上についてでございますが、来年度予算でお願いしております「尾道教育プラン」の成否は、教職員の指導力に係っております。このプランの中心である「1校1研究」事業は、すべての学校で研究、研修を行い、個々の教職員だけでなく、学校全体の指導力の向上を図ろうとするものであります。 その成果ですが、学校内での研修は、小・中学校31校において、本年度は総数1,207回実施しております。このうち540回は、大学教授や指導主事など外部からの指導を仰いだものですが、これは前年度より25%増加しております。また、一つの授業を他の教職員が参観して、評価や意見を交換する授業研究は、前年度の361回から593回と64%ふえております。市内の教職員が517人ですから、数字の上では1人1回以上の授業研究を行ったことになります。 1校1研究事業では、外部へ研究成果を公開することを義務づけておりますが、この公開研究会には約6,000人の方々が参加されました。そのうち、尾道市を除く県内及び県外からは1,000人を超える参加がございました。このように、各学校での研究、研修の実施回数は格段にふえております。 また、公開研究会のほかにも、県外から多くの教育関係者が本市の学校を視察していただき、一定の評価を得るなど、これまでにない研究の機運が高くなっております。 今後の課題といたしましては、研修の質の向上とともに、各学校での研究システムを定着させることが求められております。そのためには、学校内での研修をリードする教務主任や研究主任の力量を一層向上させることが重要であり、主任を対象とした研修の充実を図ってまいります。 次に、校外における研修状況についてでございますが、まず教育センター等公的な研修へは、本年度延べ533人が参加いたしました。これは実人数では326人で、全教職員の63%になります。平成13年度の教育センターへの参加実数は約220人ですから、この2年間で100人以上増加しております。ただし、校種別で見ますと、小学校が75%の参加に対し、中学校では42%にとどまっております。 次に、他の学校の研究会や、いわゆる先進校から優れた実績に学ぶことも指導力を高める上で重要であります。本年度は、教職員の70%が他校の研究会に、31%が先進校の視察に出向いております。 なお、「尾道教育研究会」への加入状況につきましては、小学校の場合、設置した平成14年8月時点で73%であったものが、現在では96%、中学校では46%から55%に増加しております。この2年間で校外での研修も大きく伸びており、特に小学校においては、その成果は学校内での研修にも波及し、教職員の指導力は着実に向上しております。 一方、中学校においては、広く他校を参考にし新しい教育を構築しようとする意欲の喚起が課題であり、1校1研究のあり方を含め、研修体制の確立を進めてまいりたいと考えております。 次に、中学校校長会アピール後の各学校の状況と教職員の資質向上についてでございますが、市立中学校教諭不祥事に対して、中学校校長会は緊急アピールを発出し、信頼回復を目指して全力を挙げて取り組んでいるところでございます。小学校も含め各学校では、児童・生徒及び保護者に、「あいさつ」「時間厳守」「服装」「清掃活動」など、具体的な行動目標を明示し、日々の指導への言行一致を教師みずから実践することにより、模範たるべき信頼される教師となるよう努力しております。 こうした中で、教職員のあいさつ、服装、外部への対応等がよくなったとの市民からの声も聞かれるようになってまいりました。確実に尾道の教職員は変わりつつあると認識しております。来る12日は中学校、24日には小学校の卒業証書授与式がございます。ここ数カ月における取り組みの集大成として、教職員の様子を見ていただけるものと考えております。 学校が、子どもや保護者、地域の願いにこたえていくためには、教職員の資質と指導力の向上は不可欠であります。すべての教職員が教師としての職業意識と使命感を備え、「言行一致」「率先垂範」「師弟同行」を徹底して教育活動を充実するよう、校長会と連携して取り組んでまいります。 最後になりましたが、慶徳元校長先生の不幸な出来事から1年が経過した日に当たり、衷心より先生への哀悼の意をささげますとともに、尾道教育の再生に向けて、最大限の努力を傾注していく決意でございます。 以上、答弁とさせていただきます。                ~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(松谷成人) 18番、平田議員。 ◆18番(平田久司) (登壇)皆さん、おはようございます。 公明党議員団を代表いたしまして総体質問を行います。一部重複がありますが、質問通告書に従いまして順次質問をいたします。 初めに、今後の当地方の景気見通し及び財政見通しについてお尋ねいたします。 新聞には、長い不況もようやく底を打ったとされ、中国5県の各労働局がまとめた平成15年12月の有効求人倍率は、中国5県すべてが4カ月連続で前月を上回り、雇用の回復基調が鮮明になってきた、また失業率も、総務省がことし1月30日に発表した「労働力調査」によると、平成15年10月から12月の中国地方の完全失業率は3.8%で、前期から0.4ポイント改善し、4%を切ったのは3年ぶりで、全国の4.9%を大きく下回り、全国10地区では東海と並んで最低となるなど、雇用情勢は改善の方向に向かっているとされております。 国の平成16年度予算案は、一般会計総額が82兆1,109億円で0.4%の増加とされておりますが、参議院選経費などの特殊要因を除くと、実質的には昨年度以下の水準になるとされ、税収は景気回復を織り込み、41兆7,470億円でマイナス0.1%、国債発行額は36兆5,900億円で0.4%増加して過去最高となり、国債残高は約483兆円で、公債依存度は44.6%と報道されております。 広島県が平成16年2月16日に発表した一般会計当初予算案は、10年前を下回る超緊縮型となった。広島県の財政は、公債費や社会保障関連費など義務的経費の増加等により財源不足が拡大し、財政再建準用団体への転落のおそれもある等、危機的な状況にあるとされております。 これは、平成16年度の地方財政計画において、十分な税財源の移譲がなされないまま行われた地方交付税、臨時財政対策債の大幅な削減がさらに拍車をかけることとなったが、健全な財政基盤の確立に筋道をつける第一歩として、財政健全化に向けての基本方針と具体化方策に基づき、財政改革を計画的かつ着実に進めることを基本にし、さらに「第4期実施計画」の重点5分野の施策等に予算を重点配分しているとあります。 市長の総体説明では、少子・高齢化社会を背景とした義務的経費の増嵩などを考えると、さらに厳しい財政運営を余儀なくされるが、来るべき地方分権に対応可能な自己完結型の自治体を目指すとされ、最初に1市2町の合併、次に少子・高齢化対策、3、住民生活の安全と地域経済対策、4、世界遺産登録にふさわしいまちづくり、5、教育の充実の5項目を上げ、限られた財源を有効かつ効果的に配分することで、政策課題の具体化、計画の実現へ向けて取り組みましたとされております。 尾道市の2月補正予算では、5億6,700万円の市税収入を補正し、当初予算案では4億8,878万円の税収を見込んでいることや、中国5県の各労働局がまとめた有効求人倍率や雇用情勢の改善は景気回復を予感させます。 しかし、国の予算案の三位一体改革や広島県の緊縮予算の影響を強く受けると思われることや、地方債依存度の増加等による影響に対して、当地方における今後の景気回復や財政運営の見通しに対し、市長はどのような認識をお持ちでしょうか、お答えください。 次に、県道栗原長江線の拡幅改良の見通しについてお尋ねいたします。 広島県の当初予算案で、重点的に取り組む5分野の中に分権推進があり、地方分権の推進を図るため、市町村合併支援を大幅に強化するとともに、市町村合併後の国、県、市町村の役割、また市町村への大胆な権限移譲や、県のあり方、それを踏まえた行財政システム改革について検討するとあり、分権推進重点投資額が57.5%の増加で107億円余りとされ、その中の合併支援緊急道路事業に35億円の予算配分がされております。 県道栗原長江線は、市長が合併を控えて、御調町から市役所までの最短のアクセス道路であり、狭隘な道路の早急な拡幅の必要性を知事に要望されて、快諾を得たと聞いております。合併は尾道市の新年度予算編成の最初に位置づけられ、市長も最重要視されております。我々も合併は本来の趣旨に基づき行われるべきで、合併特例債の活用は後年度負担となることから、最小限の財政支出にとどめながらも、必要な施策は積極的に行い、これからの市民福祉の向上のため、円滑に進められる必要があると考えております。 この県道栗原長江線は都市計画道路で、昭和8年に都市計画決定された古い都市計画道路であるが、昭和60年に第5回の計画変更を経て、昭和61年から順次整備され、現在819メートルが完成をしております。追加要望区間である長江中学校までは、バイパスの下を拡幅する大規模な計画であるが、近く地元説明会が開催され、新年度から用地買収に入ると伺っております。 また、長江中学校以南の地域においても、本年2月にアンケート調査をされました。それによりますと、都市計画道路長江線の道路整備を契機として、出雲街道としての歴史的にも経済的にも活気ある長江地区にするため、お住まいの方々を対象に、現在のまちの抱える問題点や将来の望ましいまちづくりのあり方などをお聞きするとされております。行政と地域住民が知恵を出し合い、よりよいまちづくりを目指すのは非常に大事な視点であると思います。県道栗原長江線は、県が工事主体者でありますが、当市の主要幹線道路の一つであり、早期の完成が期待されております。 そこで、お尋ねいたします。まず、長江中学校までの追加要望区間の完成見込みはいつごろになるとお考えでありましょうか。 また、新年度予算に計上されている市道久保長江線の長江工区は、県道長江線の完成時期と合わせることが必要と思いますが、同時期完成との認識でよいのか、さらに県道栗原長江線の全線開通はいつごろとの認識をお持ちですか、あわせて市長のお考えをお示しください。 次に、中国横断道建設の新直轄方式による影響についてお尋ねいたします。 新聞には、中国横断道尾道松江線の建設が、広島県や島根県の希望どおり、新直轄方式による整備が決まり、悲願実現に見通しがついたとの期待が高まっており、尾道松江線の建設促進期成同盟会会長である亀田尾道市長も、山陽自動車道としまなみ海道、そして尾道松江線の3つがそろえば、尾道が中四国の十字路としての機能が果たせると強調するが、国土交通省が昨年11月に示した費用対便益などの総合評価では、尾道-三次間は52番目となっております。インター用地を抱える甲山町は、高速道路の橋脚がそびえ、「新直轄方式」を歓迎しながらも、完成時期がおくれるのではないかとの不安や地元負担のあり方も不透明とあり、また広島県知事も整備の速度を落とさず、地元負担への所要の財源措置をと国にくぎを刺していると報道されておりました。 そこで、建設促進期成同盟会会長である亀田市長は、新直轄方式による影響をどのように考えられておられますか、地元自治体への負担の増加はあるのか、工事の進捗状況の見込み、全線開通の時期はおくれるのか等、現在の市長の認識をお答えください。 次に、行政経費削減対策についてお尋ねいたします。 市長の総体説明で、尾道市の財政は地方税の微増は見込まれるものの、地方交付税の減少、国庫補助金の削減、地方債依存度の増加等により、財政の硬直化が進み、極めて厳しい状況となっている。多額の市債残高があり、少子・高齢化社会を背景とした義務的経費の増嵩など、厳しい財政運営を余儀なくされているとされております。 新年度予算案の義務的経費は161億7,865万円で、構成比は46.4%、伸び率は9.8%と大幅な伸びを示している。これは、公債費の伸びが大半を占めているが、扶助費も2億7,000万円余りで6.3%と伸びている。一方、人件費は2億5,500万円で、4.3%の削減がされている。その他、経常的経費とされている物件費、維持補修費、補助費の合計は65億7,559万円で9.8%、8,013万円の伸びであります。 これらの義務的経費の抑制は、これからの地方自治体に課せられた大きな課題ではないかと思っております。人件費の抑制は、直接的な効果は大きいが、職員数の削減や報酬と給与の減額が要因であり、努力はされておりますが、現状のままでは多くを望むことは困難でありましょう。行政経費節減のため、抜本的な改革に取り組む時期が来ているのではないでしょうか。 尾道市行財政改革大綱では、推進計画を平成17年度まで示しているが、進行管理については、定期的に取り組み状況の点検などを市民に報告しながら、改革の着実な推進に努めるとされております。そこで、行政経費抑制策の一部として、4点お尋ねいたします。 1点目に、学校給食の民間委託についてお尋ねいたします。 改革大綱では、民間活力の積極的な活用の項で、給食業務は検討することの継続実施のままであるが、今までの検討の状態はいかがでありましょうか。 北九州市では、学校給食の民間委託モデル事業を平成14年2学期から2小学校でスタートし、新年度から10校に拡大し、本格的に導入する予定とされ、モデル事業評価委員会の報告によると、給食の完成度、衛生管理、調理現場の管理体制は十分に実施されており、経費面では10校の民間委託で、約8,000万円から1億円削減されると見ていると報道されておりました。 現在、給食現場で働いている人たちへの配慮は必要と思いますが、行政経費節減の面からも、給食の民間委託は必要な対策でありましょう。要望の多い中学校の給食も可能になります。抜本改革の一環として、また給食の選択肢をふやし、中学校への導入も視野に、実現に取り組まれるお考えはありませんか。 あわせて、民間活力の積極的な活用の取り組み事項にある保育業務、公共施設の維持補修業務などの推進状況や、今後の取り組みに対する、市長の御所見をお聞かせください。 2点目に、電力小売事業の一部自由化への対応についてお尋ねいたします。 電力小売事業が一部自由化されて4年になり、ことし4月から500キロワット以上に緩和され、さらに平成17年4月には50キロワット以上まで自由化される予定であります。 2月26日に、広島県本庁舎と広島市庁舎の2つとも新規参入の丸紅が落札したと報じられました。現在ではまだ応札企業が少ないかもしれないが、準備はしておく必要があると思います。ことし4月から一部自由化になる500キロワット以上の対象には、庁舎単独では該当しないと思いますが、公会堂などとの一体での対応はできないものか、また平成17年度から50キロワット以上の自由化を見据え、各施設ごとの対応も含め、経費節減効果も考えられることから、今後の対応に対する市長のお考えをお示しください。 3点目に、「健康おのみち21」の実施計画についてお尋ねいたします。 医療費削減の観点から、生活習慣病等の予防対策が子ども時代から求められております。昨年6月議会で、健康推進法に基づいた計画策定の質問に対する答弁で、今年度中に健康おのみち21として計画策定をし、健康寿命の延長、市民皆で取り組む健康づくりとして、市民生活を反映したきめ細かな計画策定を目指していると答弁されておりますが、少子・高齢社会の中、新生児から高齢者までより多くの人が健康で長生きをして有意義な人生が送られるよう、健康・長寿が求められております。その目的で策定されると考える健康おのみち21の内容と具体的な実施計画、さらにその効果の見通しはいかがお考えでありましょうか、お答えください。 4点目に、「パワーリハビリ」の導入についてお尋ねいたします。 同じく6月議会で、川崎市で効果を上げているパワーリハビリの導入を提言いたしました。国の補助事業の追加メニューで、「高齢者筋力向上トレーニング事業」が補助対象となり、各地で導入されております。 考案者である竹内教授は、パワーリハビリは日本が独自に生み出した手法であり、世界的にも注目を集めております。介護予防に大きな効果があり、はっきりと成果が見える手法で、心身の弱った人を強くし、重度の要介護者も軽度にし、本人が質の高い自立した生活を送られるだけでなく、家族の負担も軽くなり、行政も介護保険料を軽減でき、まさに1石3鳥だと述べ、さらに理想的には、各小学校単位に1カ所ぐらいできれば効果は高いと述べております。 世田谷区の特養では、17人の要介護者が訓練に励んでおり、大勢のボランティアが付き添い、励むというより楽しんでいる感じであります。第1期、16人の3カ月後の成果では、14人の要介護度が改善し、うち6人が要介護認定に該当せず、研究会の試算では、介護給付費節減額が16人全員で、年間1,584万円に上る効果が見込まれるとされております。 合併先である御調町では、昨年10月末に6種類の機器を導入し、デイサービスセンターで試行中であります。また、国産のCP2と呼ばれる4機種も導入し、その他の機器もあわせて、新年度から「国保いきいきセンター」に集約をし、パワーリハビリや体力増強のため、高校生以上を対象に、有料ではあるが低額で利用できるようにする計画だそうであります。まだ統計的なデータはないが、かなりの効果が期待できるとのことであります。 尾道市でパワーリハビリを取り入れるには、専門スタッフや設置場所の問題もありますが、今後を見据え、介護保険給付費削減効果が高く見込める事業として、一カ所でも導入へ向けて積極的に努力されるお考えはありませんか。市長の御所見をお聞かせください。 次に、「東南海・南海地震」の防災対策についてお尋ねいたします。 平成15年12月に中央防災会議で、「東南海・南海地震対策」と「対策推進地域」が指定をされ、瀬戸内海沿岸の自治体も多くが指定の範囲内にあり、尾道市も指定されております。その趣旨の中で、「津波防災体制の確立」では、特に津波による大きな被害発生が想定され、ハード、ソフトが一体となった津波対策を構築する必要があるとされております。 「避難対策の早期実施」では、津波避難地、避難経路の整備、津波警報等の迅速化・精度向上、観光客等の避難対策の項目を示し、また「広域防災対策の確立」では、自治体が連携して広域的な防災体制を確立し、地域防災力を向上させることが不可欠等とあります。 瀬戸内海沿岸は、直接津波による災害は想定しにくい面もありますが、津波による異常潮位は十分考えられます。どの程度が想定されておりますでしょうか。避難地の経路の指定、警報体制など、例示されている対策はどのように考えられておりますか。そのほか、安芸灘地震など大規模地震も想定されており、それらも含めて東南海・南海地震の対策推進地域としての尾道市の防災対策の現状と計画をお答えください。 次に、乳幼児医療費対策についてお伺いいたします。 県の16年度予算案に、「安心できる医療供給体制の構築」の中で、乳幼児医療公費負担事業として位置づけられ、現行の入院3歳、通院2歳までの対応から、対象年齢を入院、通院ともに就学前までに引き上げることとし、一部負担を導入するとされ、内容は1医療機関につき入院、通院ともに1日当たり500円とし、上限を設定して、入院は1カ月につき14日、通院は1カ月につき4日を上限とし、10月より実施するとされております。 まだ県議会で審議中ですが、一部負担金の導入には受益者負担が必要であるとか、無料にするばかりがよいとも言えない、高齢者医療費の例もある等、また子ども時代は高齢者と違い自分から医療機関に行くことはなく、子育て支援のためにも無料が妥当など、多くの意見があるようであります。 市長の総体説明に、強い市民要望の乳幼児医療に対しては市独自での拡大を計画していたが、県の制度の内容を見きわめて積極的に対応する予定と表明されておりますが、そのまま成立すれば、県の計画を活用しながら、子育て支援の観点から一部負担金を助成するお考えはありませんか。市長の御所見をお聞かせください。 次に、学校や子どもの安全・防災対策についてお尋ねいたします。 文部科学省が平成16年1月20日に、今、「子どもの安全が脅かされている」で始まる「学校緊急アピール」を出した。学校を発生場所とする犯罪の件数が増加し、凶悪犯が増加しているとともに、外部の者が学校に侵入した事件が、平成14年には2,168件であり、平成11年と比べて2倍を超える状況にあるとされております。 昨年一年間に、小学校に不審者が侵入して児童に危害を加えたり、そのおそれのあった事件は22件もあり、昨年の1月から10月までに15歳以下の子どもが被害者になった「連れ去り事件」は126件で、被害者の77%が女性であり、下校時間帯に集中している。人通りの少ない道路、木の多い公園、駐車場わき等、子どもの逃げ場を断つような場所で発生しているようであります。 連れ去りから身を守るには、子どもに「危険回避能力」を身につけさせることが大事であると、子どもの危険回避研究所は「セーフティー教室」を行っております。ここで紹介されているキャッチフレーズは、「イカのおすし」で、これは「イカ」、ついていかない、「の」、乗らない、「お」、大声を上げる、「す」、すぐ逃げる、「し」、知らせるで、これは防犯の基礎知識なので、親子で覚え、流行語のように広まってほしい等と新聞に紹介されておりました。 さらに、主な通学路の安全状態の再確認や防犯灯の設置、転落防止や車道と通学路の分離のためのガードレール等の設置も必要でありましょう。また、報道では、杉並区の小・中・幼・保全員に防犯ブザーを配布したことや、三原市がブザー配布の半額助成をし、豊田市は通学路を子どもの目線で見直し、集合場所から学校までの通学路を示すため、「安全の緑線」を引き、通学路と認識させ、安全に協力してもらう取り組み等が紹介されておりました。 また、鳥インフルエンザが山口県、大分県、京都府で発生しました。人への感染は少ないとされておりますが、十分な対策は必要であります。小動物の飼育による教育的側面は大事でありますが、鶏等の飼育担当児童にマスクやゴム手袋をつけさせる等の対策はいかがお考えでしょうか。 尾道市でも、学校の安全対策は十分対応されていると思いますが、安全管理マニュアルの策定と徹底の手法や、鳥インフルエンザの対応、また紹介したキャッチフレーズの活用や防犯ブザーの支給の助成等はどうお考えでしょうか。 さらに、朝夕に児童・生徒が地域住民とあいさつを交わすことで、住民と連帯して防犯対策を考える等、防犯能力向上の取り組みや防犯訓練、不審者の侵入防止対策はどのように考えられておりますか。また、開かれた学校との両立についても、あわせて市長のお考えをお聞かせください。 次に、校庭の芝生化についてお尋ねいたします。 校庭の芝生化を推進している千葉大学大学院の浅野義人教授は、文部科学省が平成18年度まで校庭の芝生化を促進する施策として、芝生造成費の3分の1を助成する事業を実施しているが、これまでに全国270以上の学校が芝生にしたが、それでも全体のわずか0.5%に過ぎない。 校庭の芝生化は、砂塵の飛散防止を初め、児童・生徒のけがの防止、運動に対する動機づけ、夏場は涼しく景観も改善される等、多用な分野で極めて高い効果を上げている。このため、欧米の学校の多くが芝生化されていると話し、また多用な分野で極めて高い効果を上げているが、問題点もある、日本においても芝生化が試みられた時期があるが、維持管理が面倒なことから消失をしてしまった。 芝生化を成功させるには、利用方法や管理能力など、現実的な条件を正しく把握した上で、適切な対応が必要であるが、学校には十分な予算や労力がなく、一方で芝生には恒常的に過踏圧がかかるため、校庭の芝生化のあり方としては原っぱのイメージで、永続性を第一に、踏圧に対する耐性が強く、できるだけ省管理型の芝生をつくることが必要であり、それには土壌基盤と芝草の種類、維持管理の3点が大事になりますと語っております。 市川市の板橋教育長は、現在3小学校で実施しているが、メリットが多く大変喜ばれている、管理費も造成時の注意点など、これらのことを十分把握した上で取り組むと、1校当たりの年間維持管理費は5万から10万円程度で済み、他地域に比べて10分の1程度の経費となっていると話しております。 広島県でも、校庭の芝生化に、県造園建設業協会が「推進プロジェクト」を立ち上げ取り組んでおります。県内では、美土里町の小学校が唯一実施しており、永井校長は「児童の運動能力の高まりと心の安定に役立つ」と期待していると報じられておりました。 尾道市として、教育環境向上の一環として、メリットの多い校庭芝生化をモデル的に一校でも取り入れるお考えはありませんか。 また、屋上芝生化や緑化は、夏場の校舎の温度上昇防止に効果があります。さらに、説明は省略しますが、屋上緑化では自然を体感でき、環境教育の効果が上がる「学校ビオトープ」の建設も考えられます。これらあわせて、特色ある尾道義務教育を推進される市長の御所見をお聞かせください。 以上で公明党を代表いたしましての総体質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(松谷成人) 理事者より答弁を求めます。 亀田市長。 ◎市長(亀田良一) (登壇)公明党議員団を代表されました平田議員からの御質問に順次お答え申し上げます。 まず最初に、本市におきましても、設備投資や雇用情勢改善の動きも見られ、この傾向が地域経済全体に広がっていくような国の政策展開が期待されるところでございます。 次に、財政見通しについてでございますが、県の緊縮予算や国の三位一体改革による交付税の縮減、国庫補助負担金の削減などの影響により、非常に厳しい財政環境が予想されます。したがいまして、これまで取り組んでまいりました行財政改革に一層力を入れ、引き続きまして健全な財政運営に努めるとともに、国におかれては確実な税財源移譲を速やかに実行されるよう、全国市長会などを通じて強く働きかけをしてまいりたいと考えております。 次に、県道栗原長江線の長江中学校までの完成見込みについてでございますが、県が示されている事業計画によれば、2010年度末を完成予定とされております。本市といたしましては、できる限り早期の完成に向けて努力をしてまいる所存でございます。 また、全線開通の時期についてでございますが、現在、長江中学校から以南の地域について、まちづくりに関するアンケートも実施をしていることから、住民の方の御意見もお聞きし、まちの将来像に誤りなきよう計画を定め、整備推進してまいりたいと考えております。 次に、市道久保長江線の長江工区の完成時期についてでございますが、県道栗原長江線と一体的に整備し、事業効果を上げるため、同時期の完成を予定しております。 次に、中国横断道建設の新直轄方式による影響についてのお尋ねでございますが、まず地元自治体への負担の増加の有無ですが、現行の高速自動車国道法では、国が4分の3以上を、また都道府県がその残りを負担する旨の規定になっておりますので、地元市町村への新たな負担はないものと考えております。 次に、工事の進捗状況の見込み、全線開通の時期についてのお尋ねでございますが、現在状況把握に努めております。2003年度末の進捗状況は5.7%の見込みと聞いておりますが、全線開通時期等は示されておりません。しかし、国土交通省の2003年度予算分では、全国新直轄路線配分額は1,322億円で、中国地方整備局全体では451億円が計上されております。このうち本路線では、222億円程度が計上されておりますので、事業はほぼ切れ目なく続くものと考えております。 これまでも、私みずから率先して促進活動に取り組んでまいっており、今後とも無料が大きな特徴である高速道路の早期建設に向けて、国土交通省を初め関係機関へ強力に働きかけをしてまいります。 次に、行財政改革大綱による民間活力等の積極的な活用に関する推進状況についてでございますが、まず2001年度に清風園を社会福祉法人へ移管しました。次に、保育所事業につきましては、2001年度に栗原保育所、2002年度に吉和保育所の民間委託を実施しました。2003年度は長江保育所と久保保育所の統合による効率化を図りました。また、水道局の維持修繕業務につきましても、民間の宅内維持修繕につきましては、2001年度から一部を、2003年度からは完全に民間委託するなど、着実に推進をしてまいります。さらに、公共施設の管理運営につきましては、地方自治法の一部改正に伴う指定管理者制度の導入との関係もございますので、慎重に検討をしてまいります。 今後におきましても、合併ということもありますので、第3次行財政改革大綱における残された課題とあわせ、新たな行財政改革大綱の策定を早急に進め、より一層、効率的かつ効果的な行政運営に努めていく考えであります。 次に、電力小売供給の自由化への対応についてでございますが、電力の需給契約は、受電設備を単位に、電力使用量に基づいて行われることとなっております。御所論のとおり、本庁、公会堂の現行の使用料は、個々には電力消費量の基準を満たしておりません。受電設備を一つに集約すれば対象となりますが、膨大な投資が必要であり、投資効果は見込めません。しかし、可能なところが一、二、ありますので、具体的な検討を始めてまいります。こうした中で、2005年度からは電力消費量の基準が50キロワット以上に緩和されるため、個々の施設も対象となり得ますので、十分検討してまいりたいと考えております。 次に、「健康おのみち21」実施計画についてのお尋ねでございますが、市民が健やかに心豊かに暮らせる“おのみち”を目指して、健康づくりの10年計画が策定され、先日答申をされました。この中では、「健康は生きる目的ではなく、豊かな生活の資源」というとらえ方が強調されています。この計画では、個人の価値観やライフスタイルに応じた、自分に適した健康づくりを自主的に実践していただくことを目標としております。生活習慣病対策としては、乳幼児期から生涯を通じて健康づくりを「運動」「栄養」「こころ」の3つが健康の柱であると定めております。介護予防対策としては、生活の質を高めるために、年代に応じた健康づくりの対策がうたわれております。これらのことを具体的に実施するに際しましては、行政、関係機関、地域での支え合いの重要性が指摘をされております。 今後の見通しについては、特に影響の大きいライフステージ別生活習慣病予防計画の冊子をいち早く全世帯に配布することによりまして、啓発運動をすることで、市民の健康の増進が図られるものと考えております。 次に、御提言のパワーリハビリを導入することについてでございますが、パワーリハビリは、御所論のとおり成果測定できる有効性が認められた事業でございます。これを実施するためには、場所、専門職、事業の費用対効果の検証、アフターケア等、課題もあることから、いましばらく研究をしてまいりたいと考えております。当面、介護予防事業の重点事業として取り組んでいる「ふれあいサロン」の中で、この手法を取り入れ、高齢者運動指導教室の回数をふやす等、メニューづくりを工夫して成果を上げたいと思います。 次に、「東南海・南海地震対策」についてでございますが、まず1点目の津波による異常潮位につきましては、防災対策推進地域の指定基準からして、浸水深2メートル以上の予想数値になろうかと思っております。 2点目の避難地や避難経路の指定等の対策については、現在国において、東南海・南海地震防災対策基本計画を策定中であり、この中で津波による浸水予想区域が具体的に明示されることになっておりますので、これを待って指定区域ごとに具体的な対策を練る予定でございます。 3点目の防災対策推進地域としての現行の本市の防災対策の現状等につきましては、地域防災計画に掲げている津波対策、応急対策等に基づき、住民の生命と安全を第一に考え、避難誘導、防潮扉の管理等、適切に対応してまいります。 次に、乳幼児医療助成制度についてでございますが、子育て中の親に対する医療負担を軽減するため、本市におきましても、10月から入院のみ就学前までの拡大を予定をいたしているところです。御所論のように、今回の一部負担の導入に対しましては、さまざまな御意見があるところでございます。 御質問の県制度の不足分を補うために助成をすることは、医療費の公平負担全体を見たところ、バランスよく導入されておりますので、別の手だては適当ではないと考えております。 以上で市長答弁といたします。 ○議長(松谷成人) 平谷教育長。 ◎教育長(平谷祐宏) (登壇)教育委員会にかかわる御質問には私からお答えさせていただきます。 まず最初に、学校給食の民間委託についてでございますが、学校給食は子どもたちの心身の健全な発達を支え、ひいては市民の食生活の改善に寄与することを目的に、学校教育活動の一環として実施しております。具体的には、専門家である学校栄養職員が献立を作成し、その指導のもと調理された給食が提供されております。また、学校では、給食指導や食教育を計画的に実施しております。 学校給食の民間委託につきましては、御指摘のように、特に経費面での節約効果はあると思います。しかしながら、行政としましては、教育活動としての学校給食を円滑に行うことが基本であり、何よりも給食の質の低下を招くことがないようにすることが重要であります。これらの観点から、学校給食の効率的な運営を図るとともに、民間委託については引き続き慎重に検討してまいります。 なお、中学校での給食実施につきましては、施設設備や維持管理に要する経費などが増大しますので、現状によりたいと考えております。 次に、学校や子どもの安全、防犯対策についてでございますが、未然に防止策を講じておくことと、不測の事態が生じたときに、教職員や児童・生徒が的確な判断と行動がとれることが何より肝要であります。 各学校では、抗病原性鳥インフルエンザへの対応も含めた「危機管理マニュアル」、子ども110番の家の所在や危険箇所をまとめた「安全マップ」等による危機管理体制の確立、不審者侵入を想定した実践的訓練、PTAと協力して防犯ブザーのあっせん、貸し出し等の取り組みが行われております。 子どもを守る体制づくりは、学校だけで確保できるものではなく、家庭、地域、関係機関等が一体となって進めることが大切であると考えています。現在、登下校時に合わせて、老人会による散歩、地区社会福祉協議会のボランティアによる危険箇所の見回り、地区防犯組合連合会や地区民生児童委員による安全パトロールなど、積極的な取り組みが行われてきております。このように、それぞれの地域にある各種団体等の資源を子どもたちの安全確保のために活用することにより、地域に見守られた開かれた学校づくりを着実に進めてまいります。 次に、校庭の芝生化及び屋上の緑化についてでございますが、学校の屋外教育環境の整備を図る上で、御所論のとおり、景観の改善、児童・生徒のけがの防止、砂塵の飛散防止など、メリットはたくさんあると認識しております。しかし、芝生を維持管理する上では、芝の刈り込み、草取り、散水など意外と手間のかかる作業が多く、また犬や猫のふん尿による衛生面の対策など、管理体制を整備する必要があります。今後、先進校の状況を十分把握し、研究をしてみたいと考えております。 以上、答弁とさせていただきます。 ○議長(松谷成人) 午前の会議はこの程度にとどめ、暫時休憩いたします。                午前11時37分 休憩  ────────────────── * ──────────────────                午後1時0分 再開
    ○副議長(金口巖) 休憩前に引き続き会議を開きます。 総体質問を続行いたします。 15番、村上議員。 ◆15番(村上俊昭) (登壇)皆さん、こんにちは。 政経クラブを代表いたしまして、市長の総体説明に対しまして総体質問を行います。しばらくの間御清聴のほど、よろしくお願いをいたします。 それでは、通告書どおり順次質問をいたします。 最初に、先駆的自治体についてであります。 現在の地方自治は、戦後の憲法体制下で初めて国家の基本的な構造に踏み込まれ、地方自治体は「自治の本旨」に基づいて、地域の統治を行う主体となっております。しかし、その実態は、機関委任事務制度や行政指導を初めとする国家の法的政策的統制の優先、課税や起債における国家の優先的地位がもたらした財政自主権の実質的な制限、自治体が配分の決定権を持たない地方交付税制や硬直的で全国一律の基準に準拠させられる公共事業など、自治体はあらゆる面で国の施策と財政に依存せざるを得ない制度的限界に悩まされ続け、その一方で地域経済の主体としての自己責任や自己規律を厳しく問われることなく、国からの支援を受け、地域社会における優先的な地位を享受することを既得権化してまいりました。その状況が、特に高度経済成長期以後の過疎対策や公共事業政策を通じて常態化することによって、自治行政は既得権と国家依存の構造を根強く持つことになりましたが、90年代以降、本格化した構造改革で、地方分権に続いて市町村合併や三位一体改革が、自治体相互の利害の対立や税財源問題をめぐる国と地方自治体の衝突という形で起こっております。 地方分権と広域行政化は必ずしも連動するとは思いませんが、市町村合併を含む行政制度改革は、基本的には社会的諸条件の時代的変化に伴って、当該行政システムが生活領域や生活条件の変化に適応できなくなったときに、そのシステムの最適化を目的に実施されることが自然であります。 しかし、行政制度の歴史では、必ずしもそのような自然な改革が主流ではなく、むしろ国家における政治状況や政治的意図によって上から提起され制度化されてきた、「自律」なき改革が明治以後続いております。現在進行中の分権第2段階が、昨年11月開催の第27次地方制度調査会の最終答申による過程に見られる小規模町村の半強制的淘汰や、三位一体改革における中央省庁の利害を優先した、財政危機の地方へのしわ寄せに傾斜していることは全く遺憾であります。 しかし、今日の経済、社会構造は大きく変化し、物流や情報、通信、そして交流手段が発展して、ライフスタイルは一変しました。人々の生活領域は大きく広がり、工業・流通団地の形成等の地域開発や住民の都市部への流出による過疎地域への固定化などによって、地域社会相互の関係もまた大きく変化し、この変化によって既存の行政事務を前提とする行政区画存続の意味が薄れたことは、だれしもが認める事実であります。 このような社会全体の変化を踏まえて、分権によって拡大された権限と事務を十分に使いこなすことができる新たなる活力ある地域社会を創出するためには、行政の広域化において期待される効率と専門性の確保と同時に、住民とのパートナーシップを確立して、住民生活に即したきめ細かい公共サービスを供給し、さらに市民による行政のコントロールと住民の社会活動への参加を確立することが欠かせません。その観点から、尾道市が積み重ねてきた広域行政の経験を踏まえて、自治行政を全国一定の制度によって統制する方向ではなく、みずから地域特性に即応した柔軟な自治の組織原理を自立的に構築する選択が必要であると思います。 御調・向島両町との広域合併について、現状をどのように見ておられますか。市長の御所見をお伺いをいたします。 社会システムの構造転換合併は、その構成員に新たなる環境に適応するためのストレスを与えるものでありますが、その転換が必然的なものであれば、転換の方向性を早く見抜き、構造転換を早く完結することによって、傷口を拡大せずに、苦痛を最小限にすることが指導的立場にある者の責務であると思いますが、あわせてお伺いをいたします。 また、構造改革特区についてお尋ねをいたします。 構造改革特区制度は、2002年4月の規制改革会議と経済財政諮問会議の提案により創設され、目的は規制改革の実験場として、特定地域について規制を緩和すると同時に、地域特性を生かし、地域の活性化につなげることとしております。そして、地域の活性化のためには、地方自治体の知恵と工夫の競争による活性化が必要であるとされ、特区は、自治体の責任、イニシアチブで行うことが望ましいとされております。また、特区の主な目的であります規制緩和は、政府が民間及び地方自治体が行う一定行為を規制しているものを、量的、質的に縮減していくことであり、地方自治体から見ると、規制緩和も権限移譲もいずれもが中央政府の権限の縮小であります。 権限移譲を地域ごとに進めようという試みは、1992年、「地方分権特例制度」によって導入されました。この制度は、一定の地方公共団体が実施する地域づくりについて、地方公共団体の自主性、自立性の一層の発揮等を可能とする許認可等の特例措置を試行的に講じ、地方分権の一層の推進を図ることを目的としております。地方自治体が中央政府に求め得る特例措置の対象分野、事項は、許認可、補助金、地方債起債、機関委任事務とされておりました。 これに対して、今般の特区法は、地方分権の推進ではなく、規制緩和とそれによる地域の活性化が主要目的とされていることから、規制の特例を求める主体については、地方自治体も民間企業や個人と並んだ単なる一主体として扱われており、また地方自治体等が求める規制の特例事項についても、地方分権的なものに限らず、教育、物流、研究開発、農業、社会福祉等の分野など、経済分野についても含まれております。 しかし、最近の第3次の提案では、例えば市町村長自体の廃止、教育委員会の廃止、収入役の必置規制緩和、公共事業等の民間委託、国政選挙における電子投票の実施など、まさに特区制度を分権的な利用に使おうという意図が見られます。 また、地域特性との関係では、地方自治体が行う特区申請後、認可された内容を見ますと、研究開発関連の特区(外国人研究者の存留期間延長)、国立機関の施設の廉価使用等、農業特区(市民農園の開設者の拡大等、株式会社へのリース等)、幼・保一元化、幼児教育特区(合同保育、3歳未満児の幼稚園入園の容認等)及び国際物流特区(関税のみ24時間庁等)などであります。構造改革特区による経済の活性化は、いずれの場合でも地方自治体運営に大きく依存する時期が来ると思います。先駆的自治体を目指している本市として、構造改革特区に対する市長の御所見をお伺いいたします。 次に、尾道国際芸術文化都市像についてお尋ねをいたします。 尾道市の目標とする都市像は、瀬戸内海の交通の要衝として発展し、今日的には海上交通だけではなく、陸上交通等を含めた瀬戸内の十字路としての位置にあります。重要港湾に指定されている尾道・糸崎港を有し、定期航路によって四国及び島嶼部との海上交通の復活が望まれております。尾道水道に沿った山陽本線、また新たに東尾道が設置され、昭和63年には新幹線新尾道駅が開設し、高速交通時代の交通利便性が格段に向上しており、さらに平成11年にはしまなみ海道が開通し、現在は中国横断自動車道尾道松江線の建設中であります。そして、平成5年には広島空港の開港は、海外を含めた交通利便性を向上させ、大きな波及効果を与え、高速道路等の整備とあわせ、瀬戸内の十字路としての重要な拠点性を有していると認識いたしております。 このような中で、尾道の歴史、文化に磨きをかけるとともに、尾道の復活を旗印に、市長は平成9年に新たなる総合計画を策定されました。この計画は、「交流」、「創造」、「人間」をキーワードとして、世界に開かれた創造的で心豊かな「みなと」の実現を目指し、そのために『世界に開かれた「みなと」』『創造的な「みなと」』『心豊かな「みなと」』の3つの都市像を掲げて今日に至っております。 尾道駅周辺地区においては、尾道水道に臨む一帯に、交通・港湾機能等が集積しており、商工都としての本市の発展を支えてきた中心商業業務地区が形成されております。このうち、尾道駅前地区は、鉄道、道路、航路、都市型住宅、文化施設の拠点でありますが、尾道水道の港湾空間については、海上交通の変化などに対応して、観光地尾道にふさわしいにぎわいと潤いのある魅力的なものへと再生していくことが必要であろうと思います。さらに、商店街についても、集客力の低下が進んでおり、魅力的な商業地としての再生が急務であります。 そこで、先般我が会派政経クラブとして、交流を支える基盤づくりとしての躍進中の横浜市の「みなとみらい21」について、行政視察を行ってまいりました。当日は広報課長の概要、説明を得て、現地視察をあわせて行いました。日本一の高さを誇る296メートルの横浜ランドタワービル、大観覧車(コスモロック21)、現存する商船用石づくりドックを「ドックヤードガーデン」として復活、活用し、文化・商業のスペースの通称「赤れんが倉庫」、汽車道として元の臨海線跡地を保存した施設等が広く知られておりました。歴史や概要については、みなとみらい21は横浜市の都心を大改造するプロジェクト名であり、20年前までは横浜の都心近くに大きな造船所(三菱重工横浜造船所)や埠頭施設があり、その前面に東京湾が広がっておりました。そこで、造船所などには、市内の別の場所に移転してもらい、その空地と前面の海を埋め立てた土地をあわせて開発し、隣接するまちとも一体化することにより、横浜の都心を再生することにした大事業がみなとみらい21事業でありました。 また、名前は昭和56年に市民から寄せられた2,300件近くの提案の中から、未来の港町づくりのイメージが込められていること、片仮名名称が氾濫する中で平仮名を使ったことの意外性などが評価されて、選択されております。「みなとみらい」の名前は、平成元年には町名、住居表示として採用され、今では中央地区の地名として親しまれており、「みなとみらい」は機能的な業務環境、商業的なにぎわい、文化の薫り、安らぎの場など、多用な魅力を兼ね備えた横浜の新しい都市として姿を感じ取ることができました。 事業主体である横浜市では、民の力が存分に発揮される都市・横浜を目指すために、「株式会社横浜みなとみらい21」を設立し、出資比率は、横浜市、神奈川県、都市基盤整備公団で50%、その他を地権者、地方経済界で運営をしておりました。都市の2分化を一体化し、ここに観光、企業、ショッピング、文化施設等を集積し、これにより市民の就業の場やにぎわいの場を創出し、あわせて経済の活性化と経済基盤を確立することで、横浜市のより強力な自立性を目指しております。 開港八百有余年の歴史を持つ港とともに発展してきた中で、数々の文化財が蓄積されてきたほか、尾道水道と山合いの社寺や路地、坂道、石畳とが織りなす風情豊かな町並みが形成されてきました尾道市でありますが、新たな「みなと」の中心である尾道水道、合併を控えた向島町、そして御調町を含んだ総合計画の策定が必要であると思いますが、市長の総合計画についての御所論をお伺いいたします。 現在の尾道市においては、尾道水道の港湾空間である向島町、尾道駅前地区、そして商店街との協働のにぎわいの再生が魅力的な商業地区をつくり出すことと思いますが、あわせてお尋ねをいたします。 先般の行政視察において大変感動したことは、旧横浜ドックのドックについてであります。港とともに発展を遂げた横浜は、明治時代、港の創生期に英国人の協力により、旧横浜造船所内に2つの石づくりドックを中心に、本格的な船舶修理施設を整え、横浜港の発展の基礎をつくったことでありました。現存する商船用石づくりドックの中では日本最古となり、ランドマークタワーの敷地内に再生されたドックヤードガーデンとして親しまれております。第2号ドックは、都市開発の中で保存活用が図られたことが評価され、平成9年12月に重要文化財に指定されておりました。また、日本丸メモリアルパーク内にある帆船日本丸が係留されている第1号ドックも同様に、平成12年10月に、国立文化財保護審議会は、文部科学大臣に答申をしていることであります。 このように、使用されなくなった産業遺産を含めて、数多くの近代化遺産が残る横浜では、都市景観の保全、形成に対して、行政、市民とも意識が高く、市としても「歴史を生かしたまちづくり要綱」を定め、歴史的建造物を登録し、所有者と市との間の契約による保全、改修、運営にかかわる補助を行ったり、何らかの形で活用を図る場合には歴史的建造物として認定し、単なる保全補助以上に改修費、運営費の補助を講じております。 本市においても、新年度予算の「交流を深めるシステムづくり」の項目の中で、造船のまち尾道にふさわしい夜景を醸し出すため、日立造船向島西工場のクレーンのライトアップ事業補助として1,500万円計上しておりますが、どのような日程で実施されるのかお尋ねをいたします。 日立造船向島工場は、昨年の4月から閉鎖し、工場内には大小合わせて6基のクレーンほか、造船産業遺構として、ドック、船台、そして作業棟があります。尾道水道に光のアートという「尾道らしさ」のPRに大いに役立つことと期待をいたしております。 次に、観光振興についてであります。 今回の視察において判明したことは、新たなルールづくりによる観光振興が生じていたことでありました。観光分野において、行政といえども意外に自由に発想して実現していたことであります。例えば、観光振興の多くは、指定を受けた文化財よりも、何となく残したらよいであろうと思う朽ちた倉庫や、地域の個性を有する鉄道線路、汚れてしまったドックといったものを活用して推進していたことであります。ほっておくと自然消滅してしまうような地域の素材を残し、再生して活用していくことに、観光振興に大きな意義を見つけておりました。よって、観光振興の手法には一定のルールがないものが多いと言わざるを得ません。その都度、それにふさわしいルールを知恵を絞りながら考案していくべきものであると思います。だから、時としては、独善的な方向へも行きやすいが、これらルールは地域に新たなる活力システムを生み出し、地域の自立への力となっていたことであります。 日立造船株式会社向島西工場の跡地利用は、ライトアップ事業を契機に、今後新市総合計画とあわせて検討していくべきでありますが、観光振興及び跡地利用をどのようにお考えか、お尋ねをいたします。 この項目の最後の質問は、将来的な展望についてであります。 このようにすべての条件がクリアした後には、「尾道みなとみらい21」への実現についてであります。冒頭申し上げましたように、尾道水道の港湾空間であります向島町の日立造船向島西工場、尾道駅前地区、そして商店街通りを結んだ尾道の魅力的な商業地域をつくり出すことであります。横浜の都市像を参考にしながら、観光、企業、ショッピング、文化施設、港湾施設、都市型住宅等を集積し、市民の就業の場やにぎわいの場を創出し、経済の活性を図ることによりまして、尾道の自立性を高めることに役立つと思います。海岸には臨港パークやヨットハーバー、緑地を整備し、市民が尾道三山を眺めながら、憩い親しめるウオーターフロント空間をつくり出します。尾道の歴史を象徴するクレーン、ドックなどを保存、活用し、水と緑の中で歴史の薫りが漂う、開放的な都市環境を実現できると思います。住んでよし、訪れてよしの地域づくりが地域再生のモデルになると思っております。 今こそ、地方自治体において、地域の抱える課題を的確に把握することであります。すなわち、尾道水道に面した数万坪の面積の土地を、新尾道市のために知恵と工夫を凝らして、精力的な取り組みを展開することにより、地方行政の活性を図ることが極めて重要であると思います。将来展望に立った市長の前向きな御所論をお伺いいたします。 最後になりましたが、この3月をもって退職されます職員の皆様に一言お礼を申し上げます。 多年にわたりまして、本市市政発展のため御尽力いただき、大変お世話になりました。ここで心より感謝を申し上げます。退職されても、今日までの経験を生かされまして、別の立場から尾道の発展のために、御指導、御鞭撻をくださるようにお願い申し上げます。くれぐれも健康に留意され、第2の人生が充実した日々でありますよう御祈念を申し上げます。長い間御苦労さまでございました。 以上で政経クラブを代表いたしましての総体質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○副議長(金口巖) 理事者より答弁を求めます。 亀田市長。 ◎市長(亀田良一) (登壇)政経クラブ議員団を代表されました村上議員からの御質問に順次お答え申し上げます。 合併に対する私の基本姿勢についてのお尋ねでございますが、ぎくしゃくしないスムーズな合併が大切であると考えております。つまり、合併協議に際しては、拙速を避け、相互理解を深め、十分な信頼関係を築くことが何よりも肝要であり、このことが円滑な合併につながるものと確信をしているところでございます。 次に、自治体を構成する一員である議会の議員及び常勤の特別職の処遇についてでございますが、御承知のとおり、議会の議員の定数と任期につきましては、3議会の協議にゆだねているところでございます。これまでのスケジュールに比べ、かなりおくれが生じておりますので、急いで結論を出していただけるよう願っております。 常勤の特別職の処遇につきましては、合併協議会において確認をされておりますとおり、今後、両町長と協議をすることとしております。 次に、構造改革特区についてでございますが、この制度は地域に限定した構造改革を行うことにより、地域特性の顕在化や新たな産業の集積など、地域の活性化と国全体の活性化を目指した制度でございます。 本市といたしましても、制度の趣旨を確認し、活用方法等について検討してまいりましたが、認定申請に当たって計画の熟度や実現可能性が求められており、申請に至っておりません。今後とも、本市が抱える課題等を十分分析する中で、引き続き全国の事例を研究するなど、本市に適した特区を目指し、検討を続けてまいりたいと考えております。 また、新たな総合計画策定時期についてのお尋ねでございますが、現行の総合計画が満了するのは2005年度末でございます。合併後速やかに新市の総合計画を策定することとしておりますが、策定までの間は現在策定中の新市建設計画によりたいと考えております。 なお、尾道水道を含む尾道駅周辺につきましては、それにふさわしい整備はおおむね進んでいるものと考えております。 次に、日立造船株式会社向島工場のクレーンのライトアップについてでございますが、港町尾道の代表的な産業としてはぐくまれた造船業の産業遺構であるクレーンをライトアップすることにより、尾道の借景として利活用させていただきたいと思っております。 日程につきましては、新年度に広島県において大型観光キャンペーン事業を計画されており、そのオープニングセレモニーが4月17日となっておりますので、この日に合わせて点灯を開始し、年間を通じて点灯するよう予定をしております。 また、跡地利用につきましては、今後の課題とさせていただきたいと思います。このたびはクレーンをお借りしてのライトアップをすることにより、尾道水道の夜景演出を考えておりまして、日本で初の試みであり、きっと新しい魅力ある観光資源になるものと思っております。 最後に、今後の「みなと」尾道についてでございますが、尾道水道を含む尾道駅周辺や尾道三山地区につきましては、本市の顔とも言える拠点地区の中で、欠くべからざる景観を形成しております。まちづくりの中心に据えて、私みずから積極的に取り組んでまいりました。合併後も引き続き「小さくてもきらりと光る宝石のような価値あるまち」の具現化に向けて、魅力あるまちづくりに努めてまいる考えに変わりはございません。これを推進することにより、御所論の趣旨に沿うものと考えております。 以上で市長答弁といたします。                ~~~~~~~~~~~~~~~ ○副議長(金口巖) 16番、檀上議員。 ◆16番(檀上正光) (登壇)皆さん、こんにちは。 市民連合を代表いたしまして、市長の総体説明に対する総体質問を行います。 午後の部の最後となります。大変お疲れとは思いますが、しばらくの間御清聴いただきますように、よろしくお願いをいたします。 初めに、2月19日付の毎日新聞1面に、「GDP年率換算率7%増」、これは昨年10月から12月のことであります。そして、「実質1.7%増、13年ぶり高成長」、同じく3面には、「数字の魔術、乏しい実感」「企業・業種で明暗大きく」「電気設備投資が牽引」、さらに「限られた売れるもの」の文字が躍っていました。この主な要因は、アメリカの20兆円の大型減税による成長、過熱気味の中国経済、デジタル家電の爆発的な需要拡大と言われていますが、この3つの過熱におびえているとの見方もあり、輸出主導で設備投資も輸出上誘導されたもので、内需主導の自立的な回復ではないと見ています。その証拠には、デパートやスーパーの売り上げは、昨年10月を除いては前年実績割れが続いています。売れる商品は限られており、こだわり商品か徹底的に安いものしか売れないと言われています。 また、2月28日付の新聞には、「失業率1月は悪化、5%で若年男性の改善傾向は見えず」と報道され、有効求人倍率も0.77と前回と同じ横ばいということであります。我が尾道市においても、大方の市民の方は厳しい経済情勢を認識し、それに伴う賃金も下げどまりとはなっていないのであります。 ちなみに、尾道ハローワークでの聞き取りでは、広島県の有効求人倍率は0.96、尾道管内の有効求人倍率は0.66となっているようであります。 規制緩和が進む中、また小泉構造改革で、いわゆる勝ち組と負け組がはっきりする状況も生まれました。それに伴って格差も一層拡大の方向へと向かっているのが、さきの新聞報道にあらわれているのだと思います。 一方、我が国の経済は、わずかながらも立ち直りの兆しが見えつつあるとはいうものの、これを本格的な回復基調にしていくためには、雇用や福祉などに大胆な予算配分を行い、国民の生活不安や招来不安を解消することが必要ではないでしょうか。しかし、政府予算は国民の期待に沿うものとは言いがたいのであります。 地方財政計画においても、財源不足は続き、3年連続のマイナスとなり、財政健全化の名のもとに、経費節減、効率化が叫ばれ、それが住民への負担転嫁やサービス切り捨てにつながらないか目が離せなくなっています。 その財源不足を補てんするために、新たなルール確立が求められていたにもかかわらず、自治体の赤字地方債である臨時財政対策債に依存する折半ルールが3年間延長されたことは、国のさらなる責任転嫁であり、怠慢にほかならないのであります。加えて、国は、国民の将来不安を増幅させる年金改悪や増税の道を走っているのであります。今こそ、国民生活の視点に立った施策の充実が求められているのであります。 具体的な質問に入ります。 まず、自衛隊のイラク派遣について、市長の所見を求めます。 国全体が戦闘地域とも言えるイラクに自衛隊を派遣した小泉総理大臣は、「戦争に行くのではない。復興支援に行くのだ」と言って、重装備で自衛官をイラクに送り出しました。イラクには既に38もの国が、人数の多少は別にして、軍隊を駐留させているのでありますが、そこに派遣することは集団的自衛権の行使となるのではないでしょうか。しかも今回の派遣は、自衛隊法に言われている「防衛出動命令」ではありませんし、「イラク特措法」にも当たらないと言われています。ましてや、「武力による威嚇」や「武力行使を永久に放棄する」と規定している憲法に違反することは言うまでもありません。アメリカのブッシュ大統領との約束を守らないがための派遣ではないのでしょうか。それとも、不景気が続くと必ず戦争が起こり、破壊の後にもうけることをたくらむ業界の強い要請でもあったのでしょうか。「歴史は繰り返す」とのことわざは余りにも有名であります。 同時多発テロと日本人拉致問題、そしてイラク戦争と大きな3つのことが重なり、今の日本では武断主義的な空気が強まり、後戻りできない状況にあります。それはやがて憲法改悪に走り、「力は正義なり」という雰囲気の高まりとなっていき、非常に危険なものを感じる人も多くいるのであります。越えてはならない一線を越えてしまった今の日本の、とりわけ連立内閣、中でも小泉首相と石破防衛庁長官、そして川口外務大臣の責任は重いと考えます。そして、派遣された自衛官こそ時の政治権力に翻弄されているのではないでしょうか。 日露戦争のときに、ロシアの文豪トルストイは、1904年6月27日のロンドンタイムズに、「汝ら悔い改めよ」という長い論文を発表しました。「行け汝ら無情なるロシアの皇帝、日本の帝、大臣、牧師、監督、僧侶、将軍、記者、その他の者よ、汝自ら行きて、砲煙弾雨の下に立てよ」と、戦争を進めたり、指示したりする人こそ戦場に行くべきだと皮肉を込めながら批判したのであります。 同じく日本の歌人与謝野晶子は、旅順に派遣された弟の無事を祈ってつくった詩、「君、死にたまうことなかれ」を発表しました。「すめらみことは、戦いに、おほみづからは出でまさぬ」という一節があり、忠君愛国の時代に非国民だ、危険思想の持ち主だと非難されましたが、「私もこの国を愛しています。しかし、女というものは皆、戦争は嫌いなのです。近ごろのようにやたら愛国心を言い立てて、戦場で死ぬことはよいこととするような風潮の方が危険ではないですか」と反論しているのであります。 明治の富国強兵政策から、その後、日本は帝国主義に走り、第一次、第二次世界大戦へとのめり込み、国内外で破壊ととうとい命が奪われた後、敗戦を迎えることとなったのであります。日露戦争から100年、今の日本に武断主義は必要ありません。日本は今こそ平和憲法を世界に広める努力をすべきであり、国際社会の中、外交努力を積み重ね、武力を持たずにイラクの人々が自立するための支援を行うことこそ必要ではないでしょうか。 今国会では、国民保護法案を初め7法案が提出をされ審議されることになっており、これが成立すると有事法制は、この7法案と関連条約によってほぼ完成することになります。その結果は、地方自治体への影響も大きくなるものと予想されます。今日の状況を踏まえて、市民の命と安全を守るべき立場にある市長の所見を求めるものであります。 次に、今こそ「食」の安全と農業の再建、自給率の向上を考えるとき、市長の所見を求めます。 牛のBSE問題や、アジア各国はもとより、世界じゅうで1億羽以上の鳥が死んだ鳥インフルエンザ問題が連日新聞やテレビで報道され、「牛丼が消えた」「鶏肉が輸入できなくなる」などといささかヒステリックな報道が続いています。 先日も、鳥インフルエンザをめぐる問題で死者が出ましたが、食の安全問題は今に始まったことではありません。過去にも、コイヘルペス、牛の口蹄疫、鳥のニューカッスル病、O-157事件などもありました。そのたびに、食の安全は声高に言われ続けてきましたが、農業の安全、つまり自給率を高め、安全で安定した供給などの食糧安全保障を唱える人は少なかったのであります。食の前に農林水産があり、農林水産と食は一体であることを忘れてはなりません。 以前にも述べましたが、日本の食料自給率は、1965年、73%だったものが、農作物や水産物の輸入自由化以来、自給率は下降の一途をたどり、1998年、40%にまで下がったのであります。先進諸国の中では最低となっています。しかも、農業をやる人が少なくなったから自給率が低下したのではないのであって、今起こっている現象も、農業の工業化、自然の摂理を超えた効率追求にあるのではないでしょうか。家畜の反乱、復讐が始まった底知れぬ不気味さを指摘する人もいます。このままでいけば、政府が目標としている自給率の45%どころか、2010年には38%、さらに10年後には20%台になるとの予測もされています。 日本型食生活が世界でも注目をされ始めているときに、輸入に頼る日本の食糧事情は、まさに薄氷の上に置かれているのであります。輸入が絶対だめという時代ではありませんが、牛のBSE、鳥インフルエンザなどの一連の事件を機に、より一層食の安全のために農の安全を考えるときだと思うのでありますが、市長の所見を求めるものであります。 続いて、三位一体改革についての市長の受けとめと今後の対応について質問をいたします。 市長は、さきの予算内示や総体説明の中で、新年度予算の編成に当たり厳しい財政状況を念頭に置き、限られた予算の重点配分、経費の効率化に努め、市民ニーズにこたえるためにも、いかに投資効果を引き出すかということを重点に、5項目を基本に編成し、総合計画に基づく8項目の施策を具体化する考えを述べられました。 その基本となるものの一つには、国の三位一体改革を受けての財源確保や少子・高齢社会の背景で経費の増嵩などを考えるとき、引き続き厳しい財政運営を余儀なくされるとの予想をされ、合併を含めた地方分権に対応可能な自己決定、自己責任、いわゆる自己完結型の自治体づくりを目指すとされています。 国は、昨年6月26日、経済財政諮問会議において、いわゆる骨太方針第3弾、「民間の活力を拒む規制、制度や政府の関与を取り除き、民間需要を創造する」として7つの分野での構造改革を重点化しました。そのうちの一分野に、国と地方の改革、いわゆる三位一体の改革があります。 その内容は、1、国庫補助負担金の改革では、2006年度までに徹底した見直しを行い、廃止、縮減を行うというもので、その額は約4兆円。2、税源移譲を含む税源配分の見直しでは、廃止する国庫負担金の対象事業で、引き続き地方が主体となって実施する必要があるものについては税源移譲をする。その際の税源移譲は8割程度とすること。あわせて、課税自主権の拡大も図る。3、地方交付税の改革について、その全般を見直し縮小していく。他方、必要な行政水準については、地域間の財政力格差を調整することはなお必要としています。これは、人員削減を3年間で4万人とすることや、投資的経費、単独事業を1990年から1991年の水準を目安に抑制するというものであります。 しかし、よく考えてみますと、事ここに至った主な要因は、地方財政は、1、バブル崩壊後の景気対策に動員され、公共事業や地方単独事業の拡大で地方自治体の歳出が拡大してきたこと、2、不況による税収減に加えて、税源による地方税収が減収となったことなどにより、地方財政は依然として巨額の財政不足が生じているのであります。また、その補てんは、地方債という借金を中心に補てんしてきたために、地方財政の硬直化、借金体質が進行してきたのであります。したがって、地方財政の健全化にはまだほど遠く、単年度ごとの緊急措置である当面を乗り切るのが精いっぱいとなっているのではないでしょうか。 2004年度の国の一般会計はプラス0.4%でありますが、地方財政計画はマイナス1.8%で、3年連続のマイナスの伸びが続いているのであります。今、地方は、国に先駆けて急ピッチで財政再建の道をたどっているのであります。いや、たどらされているのかもしれません。つまり、いつの時代も国の言うことを聞かなければならないという状態が続いてきたのであります。 特に、今回の三位一体改革においては、補助金カットでの税源移譲は80%と20%も値切りをされて、地方債も削減され、合併特例債の増加分は完全に帳消しにされています。加えて、依存財源である地方交付税はもちろん縮減となっていて、この時期課税自主権の拡大と言われても、市民や納税者の立場から理解を得るには、よほどの決意を持ち、従来とは比較にならないほどの説明責任を必要とするのではないでしょうか。ただ一つの救いと言えることは、一定の地方自立への展望がかいま見えているということであります。 そこで、お尋ねをいたします。今回極めて中途半端な改革に終わるのではないかと言える三位一体改革を、市長はどのように受けとめておられるのでしょうか。 また、それに対し、今後どのように対応されようとしておられるのでしょうか。全国市長会の提言も聞いておりますが、ここは地方自治体が真に自立するための正念場を迎えることになると思いますので、あわせてお答えください。 次に、自己決定、自己責任イコール自己完結型自治体とはどのような自治体かについての質問であります。 市長は、さきの総体説明の中で、「来るべき地方分権に対応可能な安定した住民サービスを継続して提供できる自己完結型の自治体づくりを目指していく」とされています。地方自治体は3割自治と言われ続けてきました。つまり、主たる自主財源が市税で30%、残りは地方交付税や補助金、市債などであります。加えて、国の指導や権限が強く、その面からも3割自治と言えるのではないでしょうか。 しかし、ここに来て地方分権の流れが出て、真の地方自治イコール地方自立への道が開けてきているのであります。折しも国や地方の財政が悪化している中で、各種改革が声高に叫ばれ実行されているのであります。その中で、国の補助金負担金問題、しかも、いわゆるひもつき補助金などは、国のメニューに従って手を挙げ、事業執行も国やコンサルタント頼みを地方も甘んじて受け続けてきたのではないでしょうか。そのような流れでは、地方はいつまでたっても自立どころか国の言いなり、職員も含めて行政主体が難しいことは国に任せて、頼っていれば済むという体質になってきているのではないでしょうか。そのことがまた、とりもなおさず中央集権国家の典型の一つであると思うのであります。まさに太いパイプが物を言う構造的な主従関係がつくり出されてきたのであります。 しかし、今日の改革の流れの中では、全国知事会や市長会の総体として、補助金廃止、削減の意思表示がなされ、それが税源移譲を求める方法の一つとして示されてきたのであります。つまり、補助金という中央集権的なシステムを縮小していくことは、自治の確立という理念からは当然のことであり、全国市長会が取り組まれていることは、正しく税源移譲が自立へのまたとないチャンスであります。つまり、これからは補助金に依存しない財政運営をすることが自立への道の一つであることは言うまでもありません。補助金がついたからではなく、その事業そのものがまちづくりにおける重要性や事業の効率性、住民ニーズへの応答性、その事業が未来志向であり、行政のイノベーション、刷新に寄与することなどが一般財源要求の直接の説明原理となるようにしなければなりません。 その補助金に依存しないための方法は幾つかあると思いますが、例えば住民や当事者のニーズを把握するための調査が政策形成のために継続的に行われることが求められ、それがつまり補助金ではなく、市民ニーズの所在を明確に示すことがその政策への財源確保のための第一の要因となることでもあります。 北九州市では高齢者福祉の分野で、保健所と社会福祉事務所の統合、小学校区ごとに「市民福祉センター」を設置するなど、幾つかの先進的な実践事例を持っているようであります。同市では、15年以上も前から、毎年度、「市政に関する市民意識調査」を行っています。それにはもちろん、市政評価と市政要望が記入されるようになっていて、市内在住の20歳以上、3,000人を対象に、6分野36項目について、評価、要望を上位3項目選択してもらい、それを得点化して順位をつける形で行われているのであります。 自立への道のもう一つは、人材育成であります。今まで補助等を通して、国や県に頼ってきた事務処理や事業執行も、これからは自己決定、自己責任を明確に求められるわけでありますから、その対応や処理能力が問われるわけであります。また、政策決定や事業執行の目的を達成するためには、市民との協働で行うことが大切なことであると思うのであります。 政策や事業にかかわる行政の計画を、市民と当事者参加のもとで真の行政計画として確立することであります。NPOなど市民組織の形成を支援することも必要ではないでしょうか。つまりは、市民の自立であります。この人材育成について、今取り組んでいる合併もその一つであり、チャンスであると思うのであります。 合併による新市建設計画の中に、人材育成をどのように位置づけられておられるのか、位置づけられているなら最終目標をいつごろに置いておられるのか、位置づけられていないのならば、どのようにしていかれるのか、お示しください。 私は、自己完結型自治体とは、1、財政の自立、2、仕事の自立、3、市民の自立があって初めて成り立つものと思う次第であります。このことについて、市長はどのようにお考えなのか、あわせてお示しください 4番目に、合併に関する質問を行います。 まず、市町村合併に向けた今日時点での見解についてお尋ねをいたします。 尾道市・御調町・向島町の1市2町の合併につきましては、2月16日第8回の合併協議会が開催され、次回は3月25日に第9回が開催されることとなっています。当初の予定では、この3月の合併協議会において、最終的な合併協定書の案が示され、新年度に入った5月には、尾道市長や御調町長、向島町長が正式に調印をし、その後の6月定例議会では、それぞれの議会が議決をするのが計画でありました。さきの12月議会でも、我が会派の質問に対して、市長は「第1回の合併協議会で示されたスケジュールどおり順調に推移している。2005年2月を目途とする1市2町の合併は、成就できるものと確信している」との答弁でありました。 前回の合併協議会では、新市建設計画をめぐり、向島町から追加計画が出されたことにより、再び継続審査となっていることは御承知のとおりであります。また、議員の定数と任期の問題についても、我が市民連合会派では、今回の合併は「編入合併」とするという基本方針を踏まえ、御調町と向島町での増員選挙が好ましいとの主張を行い、尾道市議会としての方針もそのような方向になっていると思います。しかし、御調町議会や向島町議会では、全員を尾道市議会議員にする在任特例を希望され、議会の代表者による協議が重ねられてきましたが、いまだ結論は出ていません。 加えて、現在開会中の第159回国会においては、「市町村の合併の推進にかかわる法律案」が出され、現在の合併特例法が2005年3月末をもって期限切れとなった以降も、さまざまな特例を認める方向が示されつつあり、全国的に、一部の地域では急いで2005年3月までに合併しなくてもよいのではないかとの風潮さえ出ています。このような国の動向や、1市2町の今日の合併をめぐる状況について、改めて市長の見解をお聞かせいただきたいのであります。 次に、合併関連の2として、新年度予算でも一定の内容が出されていますが、合併後の新しい尾道市の組織と機構や、それに関連した庁舎整備の問題についてお伺いいたします。 市民連合会派では、これからの自治体は、本庁に職員や仕事を集中させる一極集中型ではなく、できる限り地域に機能分散を図ることが必要と考え、12月議会でもそのような提言をさせていただきました。そのときの市長の答弁は、「新市の組織や機構については、現在公表できる段階にないが、提言を参考にして取りまとめたい」との答弁でありました。今回の新年度予算では、共同福祉施設を廃止し、市役所の分庁舎として整備し、本庁内の幾つかの職場を移転させる計画となっています。 合併後の庁舎のあり方や職員数も想定しての整備と考えますが、この点について、合併により市役所庁舎に職員数がどのくらいふえると想定しているのか、その対応をどのような方法で解決しようと考えておられるのかお聞かせください。 最後の質問となりますが、教育問題についてお尋ねをいたします。 去る1月24日付、中国新聞の第1面に、中国地方の公立小・中学校などの教職員の休職者についての記事が出ていました。その記事によりますと、2002年度の精神疾患による休職者は、この4年間で1.5倍になり、248名の教職員がうつ病や適応障害などの精神疾患で休職しているとのことでありました。とりわけ、広島県においては118人と、2位の岡山県の50人を2倍はるかに超えているのであります。しかも、この記事の中では、各県教育委員会が、「学習指導要領の改訂や週休5日制導入、独自の教育改革などで、教職員の多忙感が増したのが背景にあるのかもしれない」とコメントしています。専門家も、「多忙で深夜や翌日の未明まで働く教職員が少なくない。人事評価制度の導入などで、学校に管理強化が推し進められていることも一因。人事や職場の人間関係に関する相談窓口を県教育委員会が設け、時間外手当を認めるなど、抜本的な対策が必要である」とのコメントも載せてあります。 とりわけ、尾道市では、日本一の義務教育づくりを行うため、3カ年計画の「尾道教育プラン21」が始まって2年が経過しています。この間、高須小学校問題でも明らかとなりましたように、小・中学校の先生方は多忙を極め、疲弊し切っている実態にあることは周知の事実であると思うのであります。 また、教職員だけでなく、児童・生徒の実態も見てみますと、私どもが入手いたしました広島県教育委員会の資料では、高校進学率が1998年度に全国7位であったものが、2002年度には全国で33位、「高校中途退学率」は、1998年度は全国で14位であったものが、2002年度は全国で高い方から6位となっています。さらに、「中学校不登校生徒数」は、1998年度は全国で22位であったものが、2002年度は全国で2位となるなど、いずれも増加しているのであります。特に、不登校児童・生徒数に関しては、数だけの問題ではなく、実態として増加をしているということであります。このように、児童・生徒を取り巻く教育状況は極めて厳しい状況であると言わざるを得ません。 本来は、すべての子どもたちに平等に教育の場を保障すべきであるにもかかわらず、教育改革が進められて以降の実態は、逆にそのような場を奪っている状況ではないでしょうか。現在、多額の予算を組み、教育改革が進められていますが、経済不況の中で生活保護世帯がふえ、準要保護を受けている児童・生徒がふえている中で、一部の子どもたちにのみしか恩恵が受けられないなどという教育改革は、私たちの求めているところの教育改革とは乖離しているのではないでしょうか。 そこで、教育長に次の5点を質問をいたします。 まず最初に、教職員の勤務実態について質問をいたします。 教職員の勤務実態のうち、特に土曜や日曜日の休日勤務や平日の超過勤務について、どのように把握されているのでしょうか。把握されていれば、その実態についてお示しください。把握されていないのであれば、今後その必要性等について、どのようにされるのかお尋ねをいたします。 次に、教職員の健康管理について質問いたします。 その1として、尾道市内各小・中学校には、「学校衛生懇話会」なるものが設置されているとお聞きをいたしておりますが、設置状況と実効ある運営がなされているのかどうかお示しください。 その2として、市内小・中学校の教職員のうち、診断書の提出に基づく病気休暇者の数及び長期休職者の数はこの1年間でどのくらいになるのかお示しください。さらに、申請理由と対策もあわせてお答えください。 4番目として、教職員の退職について質問をいたします。 市内小・中学校の教職員の退職者で、若年退職者の率はこの数年間でどのように推移しているのでしょうか、明らかにしてください。また、その実態についての分析はどのようにされているのか、お答えをください。 最後に、児童・生徒の実態について質問いたします。 市内の各小・中学校の児童・生徒の実態について、「準要保護家庭の実態」「不登校者数」「高校進学状況」はどのようになっているのでしょうか。具体的なデータとそれに関する尾道市教育委員会としての分析、さらにその結果をどのように受けとめ、対策を講じているのか、明らかにしていただきたいのであります。 教育は時間をかけて子どもの能力を引き出し、それを伸ばす作業であります。その結果は、将来にわたってあらわれてくるものであり、続くものであります。学校でともに生活している子どもたちや先生たちが生き生きと学校生活を送ることができる教育改革となるよう、願ってやみません。そのためにも、先ほどお尋ねいたしました5点につきまして、教育長の誠意ある答弁を求めるものであります。 以上で市民連合を代表しての総体質問を終わります。長い間、御清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(金口巖) 理事者より答弁を求めます。 亀田市長。 ◎市長(亀田良一) (登壇)市民連合議員団を代表されました檀上議員からの御質問に順次お答え申し上げます。 まず最初に、自衛隊のイラク派遣についてでございますが、イラクでは昨年戦争が終結して以来、荒廃した国土や困窮化した国民生活が続いております。こうしたイラクの速やかな再建を支援するため、昨年10月16日に国連安保保障理事会で「イラクに関する決議1511」が行われ、これを踏まえて、我が国も自衛隊の派遣を行いました。このことをめぐって、国内法の整備や派遣される地域の安全性の確認が不十分であるというような、さまざまな議論が起きていると理解をしております。 次に、食の安全と農業の再建、自給率の向上についてでございますが、まず食糧自給率を向上させていくためには、私たち一人一人が「食」についての理解や関心を深め、身近でとれる食べ物を大切にしていくことが何よりも重要であります。このため、本市では、地域内農産物の生産と消費拡大を図るため、地産地消運動を提唱しております。 また、「食」は安全、安心が第一であり、そのため、人、環境に配慮した環境保全型農業の取り組みも行い、生産者と消費者の理解を深めてまいります。このことが自給率向上につながるとともに、地域農業の振興が図られるものと思っております。 次に、三位一体改革の受けとめと今後の対応についてでございますが、国庫補助負担金の改革と税源移譲を含む税財源配分の見直しにつきましては密接に関係しておりますので、まずは確実な税源移譲を基本とした改革を強く望むものでございます。地方交付税につきましては、総額を抑制するとされておりますが、財政調整機能は堅持すべきであると考えております。 いずれにいたしましても、今回の三位一体改革は税源の移譲が不十分であり、地方に困難がもたらされる措置であると受けとめており、大変困惑をしております。また、今後の対応でございますが、堅実な財政運営に努めるとともに、全国市長会などを通じて、強く要望を行ってまいりたいと考えております。 次に、新市建設計画の中に、人材育成がどのように位置づけられているかとのお尋ねでございますが、職員の政策形成能力の充実や、積極的で幅広い住民参画による協働のまちづくりを推進するために、人材育成は極めて大切なことであると認識をしておりまして、新市建設計画の中にも盛り込んでおります。 地方分権を推進していく上で、自己決定、自己責任を果たすためには、人間、財源、権限の「サンゲン」がそろって初めて達成されるものであります。そのためにも、市長会等を通じた税源移譲に向けた取り組みや、権限移譲に伴う執行体制の整備、また住民参加のまちづくりへの支援などに意を注いでまいりました。今後も安定した住民サービスを継続して提供できる自己完結型の自治体づくりを目指してまいりたいと考えております。 次に、私の合併協議の現状認識についてのお尋ねでございますが、現在お示しをしてますとおり、スケジュールに比べ若干のおくれが生じておりますことは御指摘のとおりでございますが、2005年2月を目途としております合併に支障を来すほどのことは、現時点では思っておりません。 しかしながら、国において、合併に関連する3法案が開会中の国会で審議される予定となっており、このことが今後の合併協議に影響を及ぼす可能性が全くないとも断言できません。先ほども御質問にお答えいたしましたとおり、大幅な合併期日の変更はそれに伴うデメリットもございますので、慎重に対応することが必要であるかと思っております。 次に、新尾道市の組織と機構、庁舎整備についてでございますが、「新市における組織・機構の整備方針」に基づき、御調支所及び向島支所で取り扱う業務内容の骨格について調整を行い、支所の組織及び人員についての最終的な検討作業を行っているところであります。 合併に伴い、現段階の推計ではありますが、全体で80人から100人程度の受け入れが想定される中で、共同福祉施設の転用を予定し、同時に整備を計画しているところでございます。 以上で市長答弁といたします。 ○副議長(金口巖) 平谷教育長。 ◎教育長(平谷祐宏) 教育委員会にかかわる御質問には私からお答えさせていただきます。 まず最初に、教職員の勤務実態についてでございますが、信頼される学校づくりのために、それぞれの学校が年間の指導計画を保護者に明示するとともに、具体的な指導案に沿って指導していくことが重要であります。しかしながら、本市においては、教職員として基本的な事柄をおろそかにしてきた実態がありました。このため、2年前から授業改善等を全市挙げて取り組んできておりますが、能力がありながらふなれや知識が伴っていないなどのため、勤務時間終了後、あるいは休業日にも学校での作業等に従事している者がいる実態があることを、管理職から聞き取りで把握しております。 今後、引き続き、学校が組織として効率的な教育活動ができるよう、研修の充実や主任制の機能化を進めるとともに、教職員の健康状況の把握に留意してまいります。 次に、学校衛生懇話会についてでございますが、この懇話会は、職員の健康の保持、増進を図るため、今年度から各学校において設置しております。懇話会の開催は、主任安全衛生管理者である校長が必要と認めたときに招集することになっております。2月末までに21校で開催されており、未実施の10校でも3月中に開催される予定になっております。 懇話会においては、教職員の健康診断や健康状況について協議などが行われており、健康診断を受診する意識の高揚や健康状況に応じての休養の勧め等について、学校保健管理士より助言をいただいております。 次に、病気休職者についてでございますが、平成14年度の休職者は2名おりますが、精神疾患によるものではございません。また、診断書の提出に基づく病気休暇者は24名で、そのうち自律神経失調症などの精神面での事由と思われる者は10名です。病気休暇者はふえておりますが、その理由はそれぞれ異なっております。こうした実態の中で、精神的な問題について相談できる体制づくりを進めるとともに、状況によっては専門医での受診を勧めるなど、校長に対して指導を行っているところです。 次に、市内小・中学校の教職員の若年退職率の推移とその分析についてでございますが、若年退職者の割合は平成11年度、12年度は1.3%、13年度は1.5%、14年度は2.1%、15年度は3.5%と推移しております。その理由は、家庭の事情を初め個々によってさまざまであり、要因を特定することは困難であります。 最後に、「準要保護家庭の実態」「不登校者数」「高校進学状況」の実態、分析、対策についてでございますが、まず「準要保護家庭」につきましては、市内の児童・生徒数に対する援助の割合は、平成15年5月1日現在で、小学校12.2%、中学校で11.4%を占めております。この5年間で2倍になっており、厳しい経済状況を反映しているととらえています。 次に、全児童・生徒に対する「不登校者数」の割合は、小学校で0.51%、中学校で3.75%となっています。小・中とも3年連続して低下しており、小学校は半減しております。 「高校進学率」は、平成15年4月の段階で99.2%で、この4年間ほとんど変わっておりません。 今後とも、校長を中心に、教職員が精力的に教育活動を行い、安心して学業に励むことのできる学校づくりを推進してまいります。 以上、答弁とさせていただきます。 ○副議長(金口巖) お諮りいたします。 本日の会議はこの程度にとどめ、残余の質問についてはあす午前10時開議してこれを行いたいと思います。これに御異議ございませんか。                〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○副議長(金口巖) 御異議なしと認め、そのように取り計らいます。 本日はこれをもって延会いたします。                午後2時13分 延会  ────────────────── * ──────────────────   地方自治法第123条第2項の規定によりここに署名する。     尾 道 市 議 会 議 長     尾 道 市 議 会 副議長     尾 道 市 議 会 議 員     尾 道 市 議 会 議 員...